注文住宅の建築に伴って土地を取得した場合、不動産取得税の通知が建物完成前に届くことがあります。このタイミングで「減税を受けられるのか?」と疑問に思う方も少なくありません。実は、建物完成前でも一定の条件を満たせば土地に対する不動産取得税の軽減措置を受けることができます。本記事ではその仕組みと手続きについて詳しく解説します。
不動産取得税とは?土地と建物それぞれにかかる
不動産取得税は、土地や建物を取得したときに一度だけ課税される地方税です。土地と建物はそれぞれ別の取得物件とみなされ、土地取得時には建物が未完成でも税額通知が先に届くのが一般的です。
注文住宅の場合、土地を先に購入し、その後に建物を建築するという流れになるため、土地取得時点での納税通知書が建物完成前に届くのは自然なことです。
軽減措置は建物の完成後に適用される
土地に対する不動産取得税の軽減措置は、一定期間内にその土地に住宅を建築し居住することが条件です。具体的には、土地取得後3年以内(一定の要件を満たせば4年以内)に住宅が完成し、自己の居住用として使用されることが必要です。
そのため、建物がまだ完成していない状態では減額申告はできませんが、建物完成後に改めて申告することで、納めた税額の一部が還付される仕組みになっています。
軽減措置の適用条件と還付手続きの流れ
以下の要件を満たすことで、土地に対する不動産取得税の軽減措置が受けられます。
- 土地取得日から3年以内に自己の居住用住宅を建築すること
- 住宅の延床面積が50㎡以上240㎡以下であること
- 土地の面積が500㎡以下(超過分は減額対象外)であること
手続きの流れは以下の通りです。
- まずは届いた納付書に基づき、不動産取得税を納付
- 建物が完成し登記が完了したら、「不動産取得税の減額申告書」を提出
- 後日、還付通知と返金が行われる
申告期限と提出書類に注意
軽減措置の申告期限は、建物の取得(登記)から原則60日以内です。提出先は、土地がある都道府県の税事務所または県税事務所となります。
必要書類の一例は以下の通りです。
- 不動産取得税の納税通知書(または領収書)
- 建物の登記事項証明書
- 建物の平面図(延床面積が確認できるもの)
- 住民票(自己居住用を証明するため)
軽減前後の税額の違い
具体的な税額軽減の例を見てみましょう。
例えば、1,000万円の土地を取得した場合、通常は以下の計算となります。
1,000万円 × 3% = 30万円
しかし軽減措置が適用されると、以下のように控除額(上限200万円の評価額)を差し引いて計算されます。
(1,000万円 − 200万円) × 3% = 24万円
この例では6万円の還付が受けられる可能性があります。
まとめ:建物完成後の申告で軽減措置を活用しよう
建物が建築中でも、注文住宅用地であれば不動産取得税の軽減措置を受けられるチャンスがあります。ただし、建物完成後の申告が必須ですので、届いた納付書に従って一旦納付し、建物完成後に速やかに申告を行うようにしましょう。
手続きや条件に不安がある場合は、税務署や県税事務所に相談して進めるのが安心です。
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