社長1人の会社でも社会保険に加入できる?起業後の厚生年金・健康保険の仕組みと保険料の決まり方

社会保険

会社員として勤めていた人が、独立して株式会社を設立し、自分が社長になった場合でも「社会保険に加入できるのか?」という疑問は多くの起業家が抱えるテーマです。この記事では、法人代表者の社会保険加入義務や保険料の決まり方について、実務的な視点から解説します。

株式会社を設立すると社長1人でも社会保険加入は義務

日本の社会保険制度において、法人(株式会社や合同会社)を設立すると、たとえ従業員が自分ひとりであっても健康保険・厚生年金保険の加入が法律で義務付けられます

これは「法人格を持つ=会社である以上、使用者・被保険者の関係がある」とみなされるためです。役員報酬がゼロの場合や開業直後の赤字でも原則加入が必要です。

保険料は「実際の収入」ではなく「報酬額」で決まる

会社員時代と同じように、社会保険料は“その人の収入”によって決まりますが、ここでの収入とは法人から支払われる役員報酬のことを指します。

つまり、事業でいくら売上があったかではなく、登記や議事録で決めた「毎月の役員報酬の金額」に基づいて保険料が計算されます。

例えば、月30万円の役員報酬を設定した場合、その等級に応じた厚生年金・健康保険料が会社と社長で折半されます。

初年度の保険料はどう決まる?標準報酬月額と届出の流れ

社会保険に加入する際には「資格取得届」とともに「報酬月額算定基礎届(または報酬月額届出書)」を年金事務所に提出します。

このとき申請する「役員報酬額」を基準に、協会けんぽや厚生年金の標準報酬月額が決定され、各種保険料が算出されます。最初に届出た金額がそのまま反映されるため、事前に税理士や社労士と相談するのが安心です。

実例:年収ベースで保険料がどうなるか

例:役員報酬を月30万円に設定した場合、令和6年度の東京都の保険料率では、健康保険料は約29,295円、厚生年金保険料は約54,150円(合計83,445円)となり、これを会社と個人で折半します。

つまり、個人負担は約41,722円、会社負担も同額です。これらは給与明細に反映され、月次で納付する形になります。

加入手続きはどこで?社長自身が行う必要がある

社会保険の手続きは、法人の所在地を管轄する日本年金機構(年金事務所)で行います。手続きには法人登記簿謄本、定款、給与支払事実を証明する書類(給与台帳など)が必要になります。

場合によっては、社会保険労務士などに依頼することで、ミスなくスムーズに進めることも可能です。

まとめ:社長でも社会保険は「必須」加入、報酬ベースで決定

ポイントをまとめると以下の通りです。

  • 法人設立時点で、社長1人でも社会保険加入が義務
  • 保険料は「売上」ではなく「役員報酬」の額に基づいて決まる
  • 報酬は申告制なので、設定額は計画的に
  • 手続きは年金事務所で、必要書類を整えて提出

会社設立後は、社会保険の加入手続きも経営者としての重要な義務です。制度を正しく理解し、無理のない報酬設計と適切な保険料負担を心がけましょう。

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