障害年金の時効と遡求請求:5年より前の分は本当に受け取れないのか?例外や対応策を解説

年金

障害年金の請求を考えたとき、「もっと早く請求していれば…」という後悔がつきまとうことがあります。特に、障害認定日からかなりの年数が経過していた場合、5年分しか受け取れないという“時効”のルールに戸惑う方も少なくありません。この記事では、障害年金の時効の仕組みと、5年以上前の分を受け取ることができないのか、例外はあるのかを丁寧に解説します。

障害年金の遡求請求とは?基本の仕組み

障害年金の「遡求請求」とは、障害認定日(初診日から原則1年6ヶ月後)に遡って年金を請求する制度です。審査に通れば、認定日以降の分を過去にさかのぼって最大5年分までまとめて受給できます。

しかし、年金制度には「時効の原則」があり、過去5年より前の期間については時効消滅とされ、原則として支給対象外となっています。

年金の時効はなぜ5年?その法的根拠

年金の支払いに関する時効は「国民年金法第102条」や「厚生年金保険法第93条」に基づいており、権利が発生した日から5年を過ぎると「消滅時効」により時効消滅する仕組みとなっています。

このため、どれだけ正当な理由があったとしても、原則として5年より前の年金は「消滅した」と見なされるため、支給はされません。

いかなる事情があっても例外は認められないのか?

結論から言うと、原則として例外は認められません。たとえば、本人が長期入院していた、手続きの方法がわからなかった、精神疾患で行動できなかった――といった事情があっても、時効を理由に5年以上前の年金は支払われないのが実情です。

ただし、本人が障害の影響などにより「請求能力そのものがなかった」と判断されるような極めて特殊なケースでは、時効の起算点が遅れることも理論上は考えられますが、これは実務上きわめて稀です。

実例:請求が遅れたことで5年分のみ受給できたケース

Bさんは10年前にうつ病を発症し、当初は障害年金の制度そのものを知らず未請求でした。支援団体の助言でようやく申請したところ、障害認定日は7年前。しかし、請求したのが今だったため、実際に支給されたのは過去5年分のみで、認定日から5年を超える2年分については支給されませんでした。

このように、知識やタイミングの差で大きな損失になることがあるのです。

できるだけ早く手続きを進めることが大切

障害年金の請求は、初診日・障害認定日・診断書の取得など煩雑な手続きが多くありますが、1日でも早く行動を起こすことが受給額に直結します。

また、申請手続きには専門知識が求められることが多いため、年金事務所への相談や、障害年金に詳しい社会保険労務士に依頼することで、時効消滅前に正しい申請が可能となります。

まとめ:障害年金の時効は原則5年。迷ったら早めに専門家へ相談を

障害年金の請求においては、「5年」という時効の壁が存在します。残念ながら、いかなる事情があっても原則として5年を超えた部分は支給されません。

そのため、障害の状態が続いているにもかかわらず年金を請求していない方や、今後申請を検討している方は、できるだけ早く行動を起こすことが大切です。少しでも疑問があれば、年金事務所や社会保険労務士への相談をおすすめします。

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