貯金が500万円あるけれど同額の借金もある人と、貯金はないが借金もない人──どちらの方が経済的に安全なのでしょうか?この記事では、単なる資産額だけでは測れない「安全性」という観点から、それぞれの状況を比較・分析していきます。
金融資産と負債の関係を見える化する
一見すると、貯金500万円と借金500万円を相殺すれば「±0円」です。つまり、純資産としてはどちらもゼロになります。
しかし、「借金がある」ということは利息や返済義務が発生するという点で、大きな心理的・経済的プレッシャーを生み出します。一方、「借金も貯金もゼロ」であれば、返済のプレッシャーはありません。
借金の性質によって安全性が左右される
借金と一口に言っても、その性質はさまざまです。例えば。
- 住宅ローン:低金利で長期返済。資産として残る家がある。
- カードローン:高金利かつ無担保で、返済の負担が大きい。
- 教育ローン:将来の収入増加が見込める投資的借金。
つまり、同じ500万円の借金でも「どんな目的で借りているか」「金利はどれくらいか」「返済の計画性があるか」で安全性の度合いは大きく変わります。
精神的な安定感と信用の観点から考える
借金がある人は、金融機関の信用スコアや住宅ローンなどの審査に影響が出る可能性があります。また、毎月の返済が生活費を圧迫することも。
一方、貯金ゼロでも借金がない人は「信用情報がクリーン」であり、将来的に資産形成する余地が広いともいえます。借金がないことは、金融的な柔軟性の証ともいえるのです。
実例比較:AさんとBさんの場合
例1:Aさんは貯金500万円があるが、カードローンで同額の借金を抱えており、年利15%の返済に追われている。毎月の返済額は約7万円で、生活は常に赤字。
例2:Bさんは貯金ゼロで生活はギリギリだが、借金もなく、将来の収支見通しが安定。副業で月1万円ずつ積立を始めており、心理的なストレスは少ない。
この場合、Bさんの方が健全な状態と言えるでしょう。
貯金は「守り」、借金は「攻め」──戦略としての違い
貯金は「リスクヘッジ」や「備え」としての役割を果たしますが、借金は「未来への先行投資」や「一時的な資金調達手段」であり、戦略的に使われます。
しかし、貯金と借金が同時に存在する場合、それは攻めと守りが打ち消し合う状態です。特に運用せず貯めているだけなら、借金の利息分だけ損をしている可能性もあります。
まとめ:リスクがないのは「借金のない人」
貯金があっても同額の借金がある人は、実質的には「借金あり」の状態であり、リスクを抱えています。一方で、借金も貯金もない人はゼロからのスタートではありますが、今後の選択肢や精神的余裕があるという点で「安全」だといえます。
借金が悪とは限りませんが、その返済計画と目的の明確さが重要です。安全性を重視するなら、まずは「借金をなくす」ことが優先と考えるのが健全なファイナンスの第一歩です。
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