無職の家族の国民健康保険料を支払っている場合、自分の収入が増えると、その家族の保険料も上がるのではないかと不安に思う方は少なくありません。国民健康保険には「扶養」という考え方がないため、健康保険の仕組みや計算方法を理解しておくことが重要です。この記事では、国民健康保険における家族の保険料の扱いや、収入との関係をわかりやすく解説します。
国民健康保険に「扶養制度」はない
社会保険(健康保険)には「扶養」という仕組みがあり、家族が無職で収入が一定以下であれば、扶養家族として保険料を払わずに済む場合があります。しかし、国民健康保険にはこの「扶養」という制度がありません。
つまり、たとえ家族が無職であっても、その人自身が一人の被保険者としてカウントされ、保険料が発生します。このため、家族の人数が多いほど保険料は基本的に高くなります。
国民健康保険料の計算は「世帯単位」
国民健康保険料は、通常「世帯単位」で計算されます。つまり、世帯主の収入や世帯に属する家族の収入が合算され、その合計所得に基づいて保険料が決まります。
そのため、たとえ息子が無職でも、同じ世帯に属している限り、親であるあなたの収入が上がれば、世帯全体としての所得も上がることになり、息子の保険料も増額される可能性があります。
別世帯にすることで影響を回避できる?
実際には、保険料の負担を軽減するために、無職の成人の子どもを別世帯として住民票上で分けるケースもあります。こうすることで、保険料がその子ども個人の所得(または無所得)に基づいて計算されるようになります。
ただし、住民票上の世帯分離をしても、同居の実態がある場合、自治体によっては「擬制世帯」として扱い、世帯主の所得を基に計算する場合もあります。詳細は自治体の国保窓口に確認するのが確実です。
具体例:親の収入と息子の保険料の関係
たとえば、Aさん(親)が病気療養中で収入がほとんどない時期、Aさんの無職の息子Bさんの国保保険料は、住民税非課税水準で軽減されていました。
その後Aさんが回復し、パート勤務を始めて年収が150万円を超えた結果、世帯全体の所得が上がったとして、翌年度の国保保険料が増額されたケースがあります。このように、世帯内の誰かが働き始めると、無職の家族にも影響が及ぶ可能性があります。
収入が増えたら申請できる減免制度は?
一部自治体では、急に収入が増加した場合でも、前年所得が低かったり、失業などの事情がある場合は、国民健康保険料の減免制度が適用されることがあります。詳細は各自治体により異なりますので、窓口または公式サイトで確認してみましょう。
また、所得申告をきちんと行っていないと、保険料が自動的に最大額で算出されてしまうため注意が必要です。申告不要と思っていても、無職の方も含めて全員分の所得申告を行っておきましょう。
まとめ:世帯収入は国保保険料に影響するが対策も可能
国民健康保険には「扶養」の考え方がないため、無職の息子でも一人の保険料負担者として扱われます。保険料は世帯全体の所得を基準に計算されるため、あなたの収入が上がれば、息子の保険料にも影響を与える可能性があります。
ただし、世帯分離や減免制度の活用など、対策を講じる方法も存在します。状況に応じて、早めに市区町村の保険課窓口に相談することをおすすめします。
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