長年勤めた正社員を退職するとき、多くの人が直面するのが「健康保険をどうするか」という問題です。特に一人暮らしや一定の収入があった方は、退職後の保険料の負担が大きくなるため、任意継続と国民健康保険のどちらが得なのかを理解して選ぶことが重要です。
正社員を退職した後に必要な手続きとは?
正社員を退職すると、健康保険や雇用保険などの公的制度から抜けることになります。そのため、保険の切り替えや失業保険の申請などの手続きを速やかに行う必要があります。
健康保険については「任意継続被保険者制度」を使うか、住んでいる市区町村の「国民健康保険」に加入するかの選択になります。また、雇用保険に加入していた期間などの条件を満たしていれば、失業保険(正式には「基本手当」)を受け取ることも可能です。
任意継続と国民健康保険の違いを徹底比較
退職後に加入できる2つの保険制度には、以下のような違いがあります。
項目 | 任意継続 | 国民健康保険 |
---|---|---|
加入先 | 退職前の健康保険組合 | 市区町村 |
加入期間 | 最長2年間 | 制限なし |
保険料の計算方法 | 在職中の標準報酬月額を基に計算 | 前年の所得などを基に算出 |
扶養家族の取り扱い | 扶養の人数による変動なし | 人数によって保険料が増える |
年収500万円だった方の場合、任意継続の保険料は月額3万円〜4万円程度になることが多いですが、国民健康保険は自治体によって大きく異なります。特に扶養家族がいない一人暮らしの場合、国民健康保険のほうが安くなるケースも少なくありません。
失業保険の受給条件と手続き
雇用保険に1年以上加入していれば、退職後にハローワークで手続きを行うことで失業保険を受け取ることができます。自己都合退職の場合は、7日間の待期期間後にさらに2〜3ヶ月の給付制限期間があります。
たとえば、17年間正社員として勤務していた方が自己都合退職した場合、給付日数は150日〜240日程度が見込まれます。手続きには離職票や本人確認書類、印鑑、写真などが必要になります。
ケーススタディ:一人暮らしで年収500万円だった場合
例えば、東京都在住で年収500万円だったAさんが、2025年7月末に自己都合で退職したケースを考えます。任意継続保険料は月約3.5万円、国民健康保険料は所得割と均等割・平等割を合わせて月約2.7万円程度が見込まれます。
この場合、扶養家族がいないAさんは、国民健康保険の方が経済的に有利です。また、8月上旬に失業保険の申請を行えば、11月頃から基本手当の支給が始まり、一定の収入の確保も可能となります。
保険料の比較には市区町村の試算ツールを活用しよう
国民健康保険は自治体によって保険料の仕組みが異なるため、実際の保険料は各市区町村のWebサイトにある保険料試算ツールを使って確認するのがおすすめです。
また、任意継続は2年間が上限となるため、その後の保険切り替えも考慮しておくと良いでしょう。所得が減る見込みがあるなら、途中から国民健康保険に変更する選択肢もあります。
まとめ|退職後の健康保険選びは情報収集と比較がカギ
退職後の健康保険は「任意継続」と「国民健康保険」のいずれかを選ぶ必要がありますが、年収や家族構成、今後の収入見込みなどによって適切な選択は異なります。
一人暮らしで年収500万円前後だった方であれば、国民健康保険の方が保険料を抑えられる可能性が高いです。まずは各制度の仕組みを正しく理解し、自身の状況に合わせて選びましょう。さらに、失業保険の受給資格があるなら、必ずハローワークで手続きを行い、生活の安定を図ってください。
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