事故や災害などで車が損傷し、車両保険を使って引き上げ(全損処理)を行う場合、自賠責保険や自動車税に関しての補償がどうなるのか気になる方も多いのではないでしょうか。本記事では、車両保険の対象範囲、自賠責・自動車税の取り扱い、そして自動車税未納時の影響についてわかりやすく解説します。
車両保険は「車両本体」が対象、税金や他費用は原則対象外
車両保険は基本的に「車そのもの」に対する損害を補償するもので、自賠責保険や自動車税などの法定費用は保険の補償対象外です。そのため、引き上げ時に保険会社からこれらの金額を受け取ることはできません。
例えば、全損扱いとなった車両の査定額が80万円であれば、その金額から免責金額を引いた残額が支払われる仕組みです。そこに自賠責や自動車税の残存分が加算されることは基本的にありません。
自賠責保険の残存期間がある場合は一部返金可能
ただし、例外として自賠責保険には「解約返戻金制度」があります。車が廃車となった場合や名義変更された場合、残りの期間に応じた保険料が契約者に返金される可能性があります。
返金を受けるには、廃車証明書や自賠責保険証明書をもって保険会社に手続きする必要があります。保険会社によって手続き方法が異なるため、確認が必要です。
自動車税は月割で還付される可能性がある
自動車税については、車を廃車にしたり、名義変更して使用しなくなった場合、月割で還付される制度があります(普通車が対象で軽自動車は還付制度なし)。これは保険会社ではなく、都道府県の税事務所が管理しています。
還付には「一時抹消登録」や「永久抹消登録」の手続きを陸運局で行い、その後税務署から自動的に通知が来る流れとなります。手続きの完了日が遅れると翌月扱いになってしまうため、迅速な対応がカギです。
自動車税をまだ払っていない場合の影響
もし自動車税をまだ支払っていない状態で車両保険を使って車を手放す(全損や廃車にする)場合、未納分の自動車税は残ったままとなります。保険会社がその分を代わりに支払ってくれることはありません。
自動車税の未納は今後の車の買い替えや車検に影響を与える可能性があり、延滞金や督促状が届くこともあるため、速やかに納付するのが賢明です。
実際のケース:事故で全損後の流れ
例:2024年5月に事故で車が全損になったAさんの場合、車両保険で時価額80万円のうち、免責金額5万円を差し引いた75万円が保険金として支払われました。自賠責保険の残存期間が9か月あったため、解約返戻金として約5,000円が戻り、自動車税も翌月以降の分が約10,000円ほど還付されました。
このように、保険とは別ルートで還付されるお金があるため、忘れずに手続きを行いましょう。
まとめ:車両保険での補償範囲を正しく理解し、還付手続きも忘れずに
車両保険では自賠責保険や自動車税は基本的に補償されませんが、別途手続きをすることで返金や還付が受けられる可能性があります。特に自動車税の還付や自賠責の解約返戻金は見落としやすいため、廃車や全損となった際には早めに確認しておくことが大切です。
自動車税の未納は保険に関係なく自身の責任で処理が必要です。損をしないよう、正しい知識をもって賢く対応しましょう。
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