税務調査で個人事業の所得が”雑所得”と判断されるケースに出遭うと、事業所得と認められず不利益を被る可能性があります。この記事では、14年のゼネコン個人契約・農業・会社員と同時に続けた個人事業主の経歴と、赤字期間があった状態で税務署に事業所得を主張した際の注意点を整理します。
なぜ「事業所得か雑所得か」が問題になるのか
事業所得なら赤字を給与などの所得から差し引ける〈損益通算〉や、赤字の翌年以降への繰越、青色申告特別控除(最大65万円)などの特典が得られますが、雑所得ではこれらが使えません。損益通算できないため税負担が重くなる恐れがあります。
「継続性・営利性・独立性などが社会通念に照らして認められるか」が判断基準です[参照]。
判断基準の5つの要素
- 営利性:収益を上げる意図・計画性があるか
- 継続性・反復性:単発ではなく定常的な活動か
- 独立性および自己責任:自己資金・自己リスクで事業を行っているか
- 設備や労力:人的・物的設備や専門的労力の投入があるか
- 活動規模:売上額、帳簿の保存など形式的要件を満たしているか
これらすべてが揃うと税務署は事業所得と認定しやすくなります。
赤字期間があっても事業所得と認められるには
赤字=雑所得と即認定されるわけではありません。政府通知でも「赤字でも事業性があれば事業所得扱い」が示されています。
特に、赤字期でも設備投資や倉庫契約・営業活動などがあり、将来の収益見込みや計画性がある場合、税務署に主張できる材料になります。
惜しいポイント:開業届と帳簿の存在
事業所得を主張する際には、開業届の提出と、帳簿書類の継続保存が実質的判断材料になります。帳簿がないと形式的に雑所得認定されやすくなります[参照]。
税務署への対応と申告書のありかた
税務調査で雑所得扱いを主張された場合、自分の事業計画、設備や人材投入、証拠資料を準備して反論する必要があります。また過去分の訂正申告(事業所得へ変更)は、赤字の場合でも慎重に判断が必要です。
まとめ
赤字でも「継続性・営利性・独立性・設備・帳簿」の要件が満たされていれば、事業所得と認められる可能性があります。疑問がある場合は、事前に税理士や税務署へ相談し、帳簿や証拠資料を整理・保管しておくことが重要です。
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