奨学金の返済が生活に重くのしかかってくる場面は少なくありません。特に収入が減ったタイミングで減額返還を申請しても、「収入基準額を超えているため不承認」となると戸惑ってしまいます。この記事では、減額返還が認められないケースの理由と、再申請の方法、他の制度を含めた対処法を解説します。
減額申請が却下される「収入基準額超過」の意味とは
日本学生支援機構(JASSO)では、奨学金の減額返還が必要かどうかを「年間収入」で判断しています。減額返還の対象となるには、前年の収入が「一定の基準額未満」であることが必要です。
つまり、今年収入が減る予定であっても、前年の年収が基準を超えていれば、原則として申請は通りません。特に転職・退職などで収入が変動する場合、この点が落とし穴になります。
収入が下がった場合は「特別な事情」の申告がカギ
前年の収入基準を超えていたとしても、今年に入り明らかに生活が困難になった場合は、「特別な事情による減額申請」や「返還期限猶予制度」の対象となる可能性があります。
例えば、以下のような事情があるときには柔軟な対応が期待できます。
- 転職・退職などによる大幅な収入減
- 疾病や怪我による就労困難
- 家族の介護や看病による就労制限
これらは収入証明に加えて、医師の診断書や雇用契約書、退職証明などを添えて申請する必要があります。
返還期限猶予制度の活用方法
返還期限猶予とは、最大で10年間、奨学金の返済そのものを一時停止できる制度です。収入が著しく減少した場合や失業・疾病などにより返済が困難なときに利用できます。
猶予中は延滞扱いにはなりません。ただし、利子付奨学金の場合、利息は発生し続けるため、長期の利用は計画的に行う必要があります。
転職後の減額申請は「次年度」から再申請が可能
転職によって年収が大きく下がった場合でも、すぐに減額申請が通るとは限りません。JASSOの減額返還制度は「前年の所得」が判断基準になるため、次年度に改めて申請し直すことが重要です。
たとえば、2024年に収入が減っても、その影響が申請に反映されるのは2025年度になります。それまでの間は「返還期限猶予」を併用することで、一時的な負担軽減が可能です。
減額以外に活用できる支援制度
奨学金の返済に困った場合、以下の制度も検討できます。
- 返還期限猶予制度(JASSO)
- 生活困窮者自立支援制度(市区町村)
- 教育ローンの借り換えや低金利ローン
これらを併用することで、より柔軟な返済スケジュールが可能になります。
まとめ:減額不可でも諦めないで。状況に応じた申請と制度を活用しよう
減額申請が収入基準超過で却下された場合でも、収入の変動や生活状況の変化によっては、再申請や他の制度を活用することで負担を軽減できます。
「今は無理でも、来年度の申請で通る可能性がある」「返還猶予制度で時間を稼げる」など、選択肢は複数あります。生活の安定と将来の計画のために、制度の活用を前向きに検討してみてください。
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