起業や独立を考える際、「健康保険は国保になるのか?それとも社保なのか?」という疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。実は、法人経営と個人事業主では加入する健康保険の制度が異なります。本記事では、社会保険(社保)と国民健康保険(国保)の違いを分かりやすく解説し、それぞれのメリット・デメリットや注意点も紹介します。
法人の代表者は基本的に「社会保険」加入が原則
株式会社や合同会社などの「法人」を設立した場合、その代表者であっても従業員を雇っていなくても、原則として社会保険(健康保険+厚生年金)への加入義務が発生します。
これは、法人の代表者が会社から「役員報酬」を受け取る立場にあるため、「労働者」と同様に見なされるからです。法人の役員1人だけの会社であっても、社会保険への加入は必要となります。
個人事業主は「国民健康保険」に加入するのが一般的
一方、個人事業主は「自営業者」という扱いになるため、勤務先からの給与を受け取るわけではなく、社会保険の対象とはなりません。そのため、多くの個人事業主は市区町村が運営する「国民健康保険(国保)」に加入します。
また、厚生年金ではなく「国民年金」に加入することになります。従業員を雇っている場合でも、個人事業主本人が社保に加入することはできません。
従業員を雇った場合の違い
法人・個人事業主を問わず、従業員を一定以上の人数や労働時間で雇用する場合には、社会保険の適用が必要になります。
例えば、週30時間以上勤務する従業員を常時5人以上雇う場合(※一部業種を除く)は、個人事業主であっても「適用事業所」となり、社会保険の加入が義務となります。法人の場合は1人でも雇えば加入が必要です。
社保と国保の主な違い
項目 | 社会保険(社保) | 国民健康保険(国保) |
---|---|---|
保険料負担 | 会社と従業員で折半 | 全額自己負担 |
年金制度 | 厚生年金 | 国民年金 |
扶養制度 | あり(配偶者や子どもが対象) | なし(家族全員が個別に加入) |
所得に応じた負担 | 報酬に基づく等級制 | 所得・資産・世帯人数で計算 |
実例:個人事業から法人化で社保に切り替わったケース
たとえば、飲食店を個人事業で営んでいたAさんは、税務上の節税メリットを求めて法人化しました。その結果、社会保険への加入義務が発生し、役員報酬を自分に支払う形に変更。国保から社保へ切り替わり、結果的に保険料の半分が会社負担となったため、家族全体の負担が軽減しました。
このように法人化によって保険制度が変わる点は、事業形態を選ぶ上でも重要な判断材料となります。
まとめ:法人なら社保、個人事業主は国保が原則
健康保険の加入制度は、事業形態によって大きく異なります。法人を設立すれば、原則として社会保険に加入する義務が発生し、個人事業主は原則として国民健康保険となります。
将来的に従業員を雇用したり、節税を検討したりする中で、法人化と保険制度の関係性を理解しておくことは非常に重要です。どちらの制度が自分にとって有利なのか、ライフプランとあわせて考えていきましょう。
コメント