万が一に備えた制度のひとつに「死亡退職金」があります。地方公務員が死亡した際に支払われる死亡退職金は、遺族の生活保障という意味でも重要な制度です。では、この死亡退職金の受取人は「配偶者」か「生計を共にしている者」か、どちらが優先されるのでしょうか。本記事では、地方公務員の退職手当制度の中でも特に「死亡退職金の受取人」について詳しく解説します。
地方公務員の死亡退職金制度の概要
地方公務員の死亡退職金は、各自治体ごとに設けられている「退職手当条例」などに基づいて支給されます。通常、死亡退職金の支給対象者は、被共済者が現職中に死亡した場合です。
死亡退職金は、原則として勤務年数や最終給与額に応じた額が遺族に一括で支払われ、生活補償の意味合いが強くなっています。
誰が受け取る?受取人の順位
死亡退職金の受取人の順位は、多くの地方自治体において共通しています。主な順位は以下のとおりです。
- ① 配偶者
- ② 子
- ③ 父母
- ④ 孫
- ⑤ 祖父母
- ⑥ 兄弟姉妹
- ⑦ その他の親族(生計を同一にしていた者)
生計を共にしているかどうかは、原則として順位には影響しません。したがって、まず配偶者が最優先とされます。配偶者がいない場合や辞退した場合に、次の順位に移ります。
事実婚や内縁関係でも受け取れる?
婚姻届を提出していない事実婚(内縁)の場合でも、一定の条件を満たせば死亡退職金の受取人となれる可能性があります。
例として、以下の条件を満たしていれば認められることがあります。
- 同居期間が長く、生計を完全に一にしていた
- 社会的にも夫婦として認識されていた
- 双方の親族間で婚姻同様の付き合いがあった
ただし、内縁関係の場合は証明書類の提出や関係性の立証が必要で、自治体によって判断が異なります。
受取人が複数いる場合の配分は?
配偶者や子など、同順位で複数の遺族がいる場合には、支給額をどう配分するかが問題になります。通常、被共済者が「退職手当受取人指定書」を提出していれば、それに従います。
指定がない場合は、地方公共団体の判断または遺族間で協議し、合意できない場合は最終的に家庭裁判所で調整されることもあります。
指定がある場合は最優先される
勤務先の自治体に「受取人指定書」や「退職手当金等受取人の指定届」などを事前に提出している場合、その内容が優先されます。
例えば、配偶者ではなく事実婚のパートナーを指定していた場合、特段の事情がない限りその人が受取人となります。指定があることで、法的順位を超える受取が可能となるため、将来に備えて明確にしておくことが望まれます。
まとめ:原則は配偶者が最優先、指定で変更も可能
地方公務員の死亡退職金の受取人は、原則として「配偶者」が最優先されます。「生計を共にしている人」は順位の後半に位置付けられており、配偶者が存在する場合には通常は受け取れません。
ただし、内縁関係など例外的な事情や、受取人の事前指定によっては状況が変わることもあります。受取人に関して不安がある場合は、勤務先の人事担当や共済組合へ相談し、早めの対策を講じておくと安心です。
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