日本人の平均寿命が延びる中、老後の生活設計はますます重要性を増しています。この記事では、80歳時点で金融資産が6000万円あり、年金が月10万円の方が、子供に頼らず一人暮らしを続け、必要があれば施設入居も視野に入れた老後を送ることができるかを、支出シミュレーションを交えて考察します。
老後の生活費はどのくらい必要?
総務省の家計調査によると、単身高齢者の月平均生活費は約15万円程度とされています。この中には食費、住居費、光熱費、保険・医療費、娯楽費などが含まれます。高齢者施設などに入所しない限り、20万円未満で十分に暮らせるケースも多いのが実情です。
年金が月10万円ある場合、もう10万円は貯金等からの取り崩しが必要になります。仮に月10万円を貯蓄から補うと、年間120万円。6000万円の資産があれば、理論上は50年分の補填が可能です。
施設入居や介護費用の想定も忘れずに
健康なうちは問題なくても、将来的に介護施設に入居する場合は、大きな出費が発生します。以下は主な施設費用の目安です。
- 有料老人ホーム:入居一時金0〜1000万円、月額費用15〜30万円
- 特別養護老人ホーム:入居一時金なし、月額費用7〜15万円(ただし順番待ちが多い)
仮に80歳から85歳までは自宅生活、その後85歳以降に月20万円の施設費用がかかるとしても、資産が6000万円あれば余裕をもってカバーできます。
海外旅行や子どもへの支援は無理のない範囲で
年に数回の海外旅行や、子どもへの支援(例えば帰省時に5万円程度の援助)も、年50万円以内に収めれば生活を圧迫することはありません。
具体例:
・旅行費用:年3回、1回15万円=年45万円
・子ども支援:帰省時5万円×2回=年10万円
・合計:約55万円
このような支出をしても、6000万円の資産からすれば、十分余力のある範囲内です。
インフレや医療費リスクへの備えも重要
ただし、物価の上昇(インフレ)や突発的な医療費の増加には注意が必要です。インフレ率2%が続いた場合、20年後には生活費が1.5倍になることも想定しておく必要があります。
医療費については、高額療養費制度や介護保険の適用がありますが、私的保険の加入や、投資信託での運用などによるリスク分散も検討しておくと安心です。
専門家の見解:6000万円は「安心資産ライン」
ファイナンシャルプランナーの多くは、老後を単身で快適に暮らすには「3000万〜5000万円」がひとつの目安と述べています。つまり、6000万円あれば、よほど浪費をしない限り、安心して暮らせる資産規模といえます。
まとめ:6000万円+年金月10万円があれば、老後は基本的に安泰
本記事のシミュレーションを踏まえると、現在80歳で金融資産6000万円、年金月10万円という条件は、単身であっても将来の施設入居を含めて十分な備えといえます。
重要なのは、支出を「見える化」し、無理のない範囲で使いながら、安心と充実のバランスを取ることです。老後は長くなります。計画的に使い、無理なく楽しむライフプランを考えていきましょう。
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