高齢の親が公的な医療費助成や減免を受けている場合、その子どもの所得が影響することがあります。特に「扶養義務者」として扱われることで、思わぬ通知や制度変更が発生するケースも。本記事では、扶養に入れていなくても「扶養義務者」として影響を受ける仕組みと、具体的な対応策について解説します。
扶養義務者とは?法律上の定義
扶養義務者とは、民法第877条に定められた「親族間の扶養義務」がある関係の人を指します。具体的には、直系血族(親・子)や兄弟姉妹がこれに該当します。
つまり、たとえ税法上の扶養控除や健康保険の扶養に入っていないとしても、親子関係にある場合は法律上「扶養義務者」とされる可能性があります。
なぜ扶養義務者の所得が医療費免除に影響するのか
多くの自治体では、重度障害者医療費助成制度を実施しています。この制度では、本人の所得だけでなく、「扶養義務者」の所得も勘案されるケースが多く、扶養義務者の所得が一定基準を超えると助成対象から外れることがあります。
たとえば、相続による株の売却などで一時的に所得が増加した場合でも、それが翌年度の医療費免除の判定に反映されることがあります。
扶養に入れていなくても義務はあるのか?
法律上、扶養義務者には一定の生活援助を行う責任がありますが、現実には実際の扶養状況を考慮する余地もあります。ただし、行政手続き上は「親子」であるという事実だけで扶養義務者とされることが一般的です。
よって、「扶養に入れていないから無関係」とはいえず、扶養義務者として役所から連絡が来ることは十分に起こり得ます。
一時的な収入増加でも影響する?
はい、たとえ一度だけ株式を売却しただけであっても、その所得が前年分として住民税や保険料、各種助成制度の判断材料になります。
今回のように「去年だけの一時的な収入増」でも、今年の国民健康保険料や医療費助成の判定に影響するため、通知が来たこと自体は制度上正しい対応といえます。
対応策:誤解がある場合や配慮を求めたい場合
自治体によっては、扶養義務者の状況や実際の生活状況について配慮を求める申出書を提出できる制度があります。特に、収入が一時的だったことや、今後継続的な援助が難しい事情を伝えることで、再評価してもらえる可能性があります。
そのためには、お住まいの自治体の福祉課などに相談し、申請書や事情説明書を提出しましょう。証拠として株の売却履歴や今年度の収入見込みを添付すると効果的です。
まとめ:扶養義務者に該当する可能性は高いが対応の余地あり
扶養に入れていなくても、法律上は親の「扶養義務者」とみなされるため、あなたの所得が影響して母親の医療費免除が停止された可能性は十分にあります。
しかし、収入が一時的であったことや今後の生活状況を行政に伝えることで、再審査や配慮がされる余地もあります。通知の内容を一方的に受け入れるのではなく、まずは担当窓口に相談することをおすすめします。
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