なぜ国民年金廃止を掲げる政党が存在しないのか?制度の仕組みと政治的背景を徹底解説

年金

「どうせ将来もらえない」と不安視されがちな国民年金制度。しかし、それにも関わらず廃止を主張する政党が現れないのはなぜなのでしょうか?この記事では、国民年金の制度的な背景や政治的・社会的な理由、現実的な代替案がない事情などを多角的に解説します。

国民年金とは?最低限の社会保障制度の役割

国民年金(基礎年金)は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人に加入義務がある公的年金制度で、老後の生活保障だけでなく、障害年金や遺族年金などの生活セーフティーネットとしての役割も果たしています。

この制度は「保険方式」であり、現役世代が高齢者を支える仕組みのため、すぐに廃止することは大多数の高齢者にとって生活の崩壊を意味します。

制度廃止を掲げることが難しい政治的な理由

政治的にみても、年金制度は多くの有権者にとって最も関心が高く、かつ直接的に生活に影響するテーマです。そのため、単純な「廃止」は票を失うリスクが大きく、ほとんどの政党が「改革」や「見直し」は訴えても、「廃止」は訴えません。

また、年金制度は他の福祉・医療制度とも密接に連動しており、一部を廃止するだけでも膨大な制度設計の見直しが必要になります。

「もらえないから払いたくない」は本当に正当か?

たしかに、少子高齢化により将来の給付額が減る可能性はありますが、それでも完全に「もらえない」ということは制度上あり得ません。最低でも加入期間に応じた老齢基礎年金が支給され、また病気や事故で障害が残った場合も障害年金の対象になります。

実際に障害年金や遺族年金を受給して生活を支えている方も多く、「保険料=老後のためだけの積立」ではないという理解が重要です。

現実的な代替案がないという問題

仮に国民年金を廃止するとした場合、現役世代から高齢者まで、生活基盤をどう支えるかという新たな社会保障制度の設計が必要になります。民間保険に完全移行する案もありますが、誰でも加入できる保証はなく、所得格差による不公平も拡大する可能性があります。

たとえばアメリカでは社会保障番号に基づいた年金制度があり、民間保険と併用されていますが、制度設計と国民負担のバランスが難しく、参考にしづらい点もあります。

改革に向けた議論は進んでいる

政府や一部の政党では、「支給開始年齢の見直し」「マクロ経済スライドによる給付調整」などの改革が進行中です。完全廃止は現実的ではなく、制度の信頼性を高めるための持続可能な調整が議論の中心です。

たとえば、選挙で注目される政策には「最低保障年金」や「消費税を財源とする新たな給付制度」など、制度の刷新に向けた提案もあります。

まとめ:年金制度は「払わない」というより「変えていく」もの

「どうせもらえないから払いたくない」と感じる気持ちは理解できますが、国民年金は老後だけでなく、障害や遺族の生活を支える重要な制度でもあります。廃止を掲げる政党がないのは、制度の複雑さや有権者への影響が大きすぎるためであり、現実的な対応は「改革」であると言えるでしょう。

将来への不安があるからこそ、私たち一人ひとりが制度に関心を持ち、よりよい方向への改善に目を向けることが求められています。

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