アルバイトの掛け持ちをしていた従業員が一つの職場に専念することになった場合、雇用保険の再加入手続きには注意が必要です。特に「資格取得日」がいつになるのかによって、保険料の徴収や給付の対象期間が変わるため、雇用主も従業員も正しく理解しておく必要があります。
雇用保険の加入条件と掛け持ち時の取扱い
雇用保険に加入するには、主に以下の要件を満たす必要があります。
- 週所定労働時間が20時間以上
- 31日以上継続して雇用される見込み
複数の職場で働いている場合、主たる賃金を得ている勤務先(いわゆる「主たる事業所」)でのみ雇用保険に加入します。そのため、掛け持ち先を退職して一方の勤務先に一本化した場合、新たな勤務先での加入手続きが必要です。
資格取得日は「雇用が一本化された翌日」
たとえば、7月10日まで掛け持ち先で雇用保険に加入していた従業員が、その職場を退職し、7月11日から他の勤務先(現在の職場)のみで働くことになった場合、資格取得日は「7月11日」になります。これは雇用保険が「同日に二重加入できない」制度であるためです。
なお、雇用保険の資格取得届は、原則として資格取得日から10日以内にハローワークへ届け出が必要です。
実務上の注意点と必要書類
新たに雇用保険の資格を取得する際には、次の書類を提出する必要があります。
- 雇用保険被保険者資格取得届
- 被保険者番号が記載された離職票または雇用保険被保険者証(退職済で前の職場から取得済みの場合)
- 雇用契約書や勤務実態がわかる書類
また、被保険者番号を確認するため、前の職場からの離職票または被保険者証のコピーも準備しておくとスムーズです。
ハローワークへの提出と電子申請の活用
提出先は管轄のハローワークとなりますが、最近では「GビズID」を用いた電子申請も可能になっています。従業員数が多い職場や事業者にとっては、電子申請の導入で作業の効率化にもつながります。
資格取得日の設定を間違えると後々のトラブル(給付対象外、保険料未納等)に発展する可能性もあるため、速やかに処理しましょう。
まとめ︓雇用保険の資格取得日は退職の翌日が原則
掛け持ちをしていた従業員が他の職場を退職し、現職だけになった場合、雇用保険の資格取得日は「退職翌日」となります。届け出の遅延がないよう、必要書類を整え早めに対応することが大切です。雇用保険の制度を正しく理解し、事業所としても従業員を適切に保護できるようにしましょう。
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