資産形成や老後の備えとして人気を集める「外貨建て保険」ですが、運用開始後に不安を感じる方も少なくありません。特に為替リスクや途中解約による損失に悩むケースが見られます。本記事では、30歳男性がマニュライフ生命のドル建て個人年金を見直す際に考慮すべきポイントを解説します。
ドル建て個人年金の基本とリスク
ドル建て個人年金は、米ドルで積立・運用を行う商品で、日本円よりも高い利率が期待されます。しかし、為替変動により元本割れのリスクがあります。また、為替手数料や途中解約による高額な解約控除も見逃せません。
たとえば、月1万円を3年間(計36万円)支払っていても、解約時に33万円しか戻らないケースもあります。ここに為替の変動や手数料を含めると、実際の損失はさらに大きくなる可能性があります。
節税効果と実質利回りを再確認
外貨建て保険には「個人年金保険料控除」の対象となる場合があり、年間で数千円から2万円程度の節税効果があります。しかし、控除額よりも解約による損失が上回る場合、その節税効果は十分なメリットとは言えません。
仮に節税額が2万円、為替手数料が2万円、解約時の損失が16万円とすれば、実質18万円のマイナスになります。
保険の見直し時に提案されがちな「外貨建て終身保険」
保険会社は、損失補填を理由に「指定通貨建て一時払終身保険」を提案することがありますが、根本的なリスクは変わらず「為替変動リスク」を含んでいます。加えて、一時払型であれば大きな元手が必要になることも。
精神的に為替リスクを受け入れられない場合、再び外貨建て保険を選ぶのは避けた方が良いでしょう。
他の選択肢:iDeCoやNISAへの資金振替
iDeCoや新NISA(成長投資枠)は税制優遇制度が充実しており、長期的に見れば安定的な資産形成が期待できます。毎月の積立額も柔軟に調整でき、自分のリスク許容度に合わせた分散投資も可能です。
実際にドル建て保険を解約し、その分をiDeCoに回すことで節税と資産運用を兼ねた形で損失を取り戻す人も多くいます。
ドル建て保険を解約すべきタイミングとは
契約から10年以上経つと解約控除が減り、返戻率が改善する保険が多いため、精神的に為替リスクを受け入れられるならそのタイミングまで保有するのも一つの選択肢です。
ただし、現在の為替レートや今後のライフプランをよく考え、「精神的に耐えられない」と感じているのであれば、今すぐ損切りを決断するのも正解です。資産運用は「安心して続けられること」が何よりも重要です。
まとめ:感情と数値のバランスがカギ
外貨建て保険は高利回りに見える一方で、為替リスクや手数料が複雑に絡み合う商品です。「損切り」や「継続保有」は一人ひとりの性格や資産状況によって異なります。
迷った場合は、金融庁登録のファイナンシャルプランナーなど、第三者的な立場の専門家に相談することをおすすめします。自分にとって無理のない形で将来設計を立てていきましょう。
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