がん保険に加入している方の中には、「本当に必要なのか?」と疑問に感じる方も少なくありません。特に住民税非課税世帯の方にとって、毎年の保険料負担は家計に重くのしかかるものです。本記事では、がん保険と高額療養費制度を比較し、どちらを選ぶべきかを具体的に解説します。
高額療養費制度とは?
高額療養費制度は、公的医療保険に加入している人が、一定の自己負担限度額を超えた医療費について、超過分が払い戻される制度です。住民税非課税世帯の場合、自己負担限度額は他の世帯よりも低く設定されています。
たとえば、住民税非課税世帯であれば、月額の自己負担は「35,400円」が上限です(70歳未満の場合)。このため、がん治療に多額の医療費がかかったとしても、公的支援により実質的な負担は抑えられるのです。
がん保険の役割と補償内容
一方、がん保険は治療開始時にまとまった一時金や、通院・入院に対する給付が受けられる民間保険です。民間保険のメリットは、「自由診療」や「先進医療」に対する補償があることや、収入減少時の生活保障が得られることです。
しかし、毎年4万円の保険料を払っていても、がんにならなければ保険金は支払われません。そのため、「貯金に回す」という考え方も、合理的な選択肢のひとつといえます。
保険と高額療養費制度を比較する
項目 | がん保険 | 高額療養費制度 |
---|---|---|
対象 | 民間保険加入者 | 全ての公的保険加入者 |
保障範囲 | 治療費、生活支援、先進医療等 | 保険診療分の自己負担限度額 |
費用 | 年間約4万円 | 保険料不要(保険料は税に含まれる) |
給付のタイミング | がんと診断され次第 | 事後請求による払い戻し |
このように、どちらにもメリット・デメリットがありますが、家計に余裕がない場合は、保険料の見直しや貯金への切り替えも検討すべきです。
住民税非課税世帯が考えるべきポイント
経済的に余裕のない世帯にとって、無理のない支出管理が大切です。年間4万円を5年間貯金すれば、20万円というがん治療時の備えが可能です。高額療養費制度と併用すれば、十分にカバーできる可能性も高いです。
また、精神障害や発達障害のある方で収入が限られている場合、公的支援制度(障害者医療助成制度など)との併用も考慮することで、医療費のさらなる軽減が見込めます。
がん保険をやめた場合の備え方
がん保険をやめる決断をした場合、下記のような代替策を取り入れると安心です。
- 専用の「医療貯金口座」を作る
- 治療費に備えた生活防衛資金を計画的に積立てる
- 高額療養費制度の事前申請(限度額適用認定証)を準備する
これらの備えがあれば、保険に頼らなくてもある程度の安心が得られます。
まとめ:今の家計と将来の安心を天秤に
がん保険は「保険料の負担が大きい」「高額療養費制度でカバーできる」などの理由から、解約を考える方も多いです。特に住民税非課税世帯の方は、公的制度の恩恵を受けやすく、貯金に回すことで家計にゆとりを持たせるという選択も十分現実的です。
一方で、「がんになったときに手厚い保障が欲しい」「入院による収入減が不安」という方には、保険の継続もひとつの選択肢です。自分の健康状態、生活環境、金銭的状況を総合的に判断し、最適な決断をすることが重要です。
コメント