複数のアルバイトをしていると、年末調整や確定申告の扱いが分かりづらく感じることもあります。特に、扶養控除申告書の提出先と税務上の整合性については注意が必要です。本記事では掛け持ちバイトにおける年末調整の仕組みと、確定申告の方法、勤務先にバレる可能性などを丁寧に解説します。
年末調整の対象は主たる勤務先のみ
年末調整は原則として「扶養控除等申告書」を提出している1か所の勤務先(主たる給与支払者)のみで行われます。したがって、A社に提出している場合、年末調整の対象となるのはA社の給与所得のみです。
一方で、B社ではこの申告書を提出していないため、年末調整は行われず、所得税が毎月源泉徴収されたままとなります。
他の勤務先の情報は基本的にバレない
主たる勤務先(A社)は、他の勤務先(B社)での収入を自動的に知る手段はありません。税務署や市区町村が管理する情報とは異なり、企業間で給与情報を共有することはありません。
ただし、A社がバイト掛け持ち禁止としている場合、住民税の通知により発覚する可能性もあります(次章で詳述)。
住民税の通知で掛け持ちがバレる?
翌年5〜6月に会社に届く「住民税の特別徴収通知書」には、前年の合計所得が記載されます。B社の収入も確定申告等を通じて住民税に反映されるため、合算額がA社の年収と乖離していれば「他に収入がある」と気づかれる可能性があります。
ただし、住民税を「普通徴収(自分で納付)」にすることで通知書に載らないようにすることも可能です。確定申告書にその旨を記載する欄があります。
確定申告はどうすればよいか
年間所得が103万円以下で、他に収入や控除対象がなければ、確定申告は基本的に不要です。ただし、B社で源泉徴収されていた税金の還付を受けたい場合は、自主的に確定申告を行うと良いでしょう。
この場合、A社・B社それぞれの源泉徴収票を入手し、合算して申告します。国税庁の確定申告書等作成コーナーを活用するのが便利です。
実例で整理:A社に扶養控除申告書を提出し、年間給与は103万円以下
このケースでは、A社が年末調整を行い、B社分は確定申告で調整可能。合算しても103万円以内であれば所得税も発生しないため、基本的に問題はありません。
仮にB社で所得税が引かれていた場合、それを取り戻す目的での確定申告もおすすめです。住民税を普通徴収にすれば掛け持ちバレのリスクも軽減できます。
まとめ
・年末調整は主たる勤務先のみで行われる
・他の勤務先の情報は基本的に伝わらない
・確定申告で全体を調整できる
・バレる可能性があるのは住民税通知時
・住民税を普通徴収にすることで対策可能
掛け持ちバイトでも正しい手続きを行えば税制上の問題は生じません。仕組みを理解して、必要な申告を確実に行いましょう。
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