交通事故に巻き込まれ、通院治療を続けている最中に保険会社から「そろそろ治療を終了しましょうか?」と提案されることは珍しくありません。とくに自賠責保険による治療では、一定の期間が経過すると「症状固定」扱いとされるケースもあります。本記事では、自賠責保険の治療打ち切りに関する被害者の権利と、実際に取るべき対応についてわかりやすく解説します。
自賠責保険とは?補償の基本をおさらい
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、被害者救済を目的とした強制保険です。主に治療費や通院交通費、慰謝料が補償対象ですが、支払いには限度額があり、120万円が基本的な上限となっています。
そのため、治療が長引く場合や症状が完全に回復しない場合、保険会社が「これ以上の補償はできない」と判断するタイミングがやってきます。これがいわゆる“治療打ち切り”の提案です。
保険会社の治療終了通告は強制ではない
まず大前提として、自賠責保険の保険会社が治療の終了を提案したとしても、被害者が納得していなければ応じる義務はありません。医師が「まだ治療が必要」と診断していれば、治療の継続は正当な行為です。
ただし、実際には自賠責保険からの支払いが打ち切られることで、医療機関が治療費を自己負担に切り替える可能性もあるため、被害者側の経済的負担が大きくなるリスクがあります。
症状固定と後遺障害認定の関係
「もう治らない」と判断される状態が“症状固定”です。この時点からは治療費の支払いは終了となり、代わりに後遺障害等級の認定を申請することができます。
首の痛みやしびれが続いている場合、神経症状として後遺障害認定される可能性があります。特に「神経学的所見」や「画像所見」がある場合は、12級13号や14級9号に認定される可能性もあります。
医師としっかり相談することがカギ
保険会社の判断に対抗するには、主治医の診断と意見書が非常に重要です。症状固定を判断するのは医師であり、保険会社ではありません。
また、治療の継続が医学的に必要であることが記された診断書があれば、たとえ自賠責からの補償が終了しても、任意保険や加害者側に損害賠償請求をする際に有利な材料になります。
納得できない場合は弁護士への相談を
保険会社からの治療打ち切りに納得できず、かつ後遺症が残っている場合は、交通事故に強い弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士特約が付帯されていれば、自己負担なしで法的なアドバイスや交渉が可能になります。また、後遺障害認定の申請や異議申立てについても、専門家のサポートを受けることで成功率が高まります。
まとめ:自賠責の治療終了には冷静に対処を
自賠責保険の補償はありがたい反面、限度があるため一定期間で打ち切られることもあります。ただし、被害者が無理に応じる必要はなく、医師の判断と自分の体調を最優先に考えることが重要です。
保険会社の提案に納得できない場合は、診断書をもとに粘り強く交渉し、必要であれば弁護士にも相談して、適正な補償を受けられるように行動しましょう。
コメント