大学生のアルバイト収入は、親の扶養や自分自身の税負担に影響する重要な要素です。特に「扶養控除の上限額が103万円から123万円に引き上げられた」という話題が注目されていますが、その内容は一体どういったものなのでしょうか?この記事では、税制改正や扶養の仕組みについてわかりやすく解説し、大学生アルバイトの収入管理の参考になる情報をお届けします。
「扶養の103万円の壁」とは何か?
「103万円の壁」とは、アルバイトなどで得た年間の給与収入が103万円を超えると所得税が発生し、親の扶養控除の対象から外れる可能性があるラインです。103万円の内訳は、給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円という計算になります。
この金額を超えると、扶養者(親)の税負担が増え、また本人にも所得税がかかるため、学生アルバイトにとっては重要な指標とされてきました。
2025年から「123万円までOK」というのは本当か?
この話題の元になっているのは、2024年度の税制改正により「勤労学生控除の見直し」や「扶養制度の見直し」が議論されたことです。ただし、2025年7月現在の段階では、「扶養控除の上限が123万円に引き上げられた」という公式な制度変更は確定していません。
一部の報道や与党内の提言で、学生の就労促進や人手不足対策として扶養の上限を引き上げる案が浮上しているものの、法律上は依然として「103万円」が基本ラインです。
103万円と130万円の違いは?保険と税金の2つの扶養
混同されがちですが、「扶養」には2種類あります。一つは「税金上の扶養」(所得税や住民税の控除に関するもの)、もう一つは「社会保険上の扶養」です。
- 税金上の扶養:年間所得が103万円以下であれば、親が扶養控除を受けられる
- 社会保険上の扶養:年間収入が130万円未満であれば、親の健康保険に入ったままでいられる
つまり、税金面では103万円が一つの壁ですが、社会保険の扶養では130万円が大きな基準となります。
3ヶ月だけ稼ぎすぎても扶養を外れる?「一時的収入」の扱い
夏休みなどの短期間で収入が集中する学生バイトの場合、3ヶ月連続で10万円以上を稼ぐと、「130万円÷12=108,333円」の月平均を上回り、社会保険の扶養を外れるのでは?と不安になるケースもあります。
この場合、一時的な収入であり年間収入見込みが130万円未満であれば、原則として扶養は維持されると判断されることが一般的です。ただし、企業の健康保険組合によっては厳しく見る場合もあるため、念のため事前確認がおすすめです。
大学生が扶養を意識する際のポイント
収入を管理する際に意識すべきポイントは以下の通りです。
- 年間給与収入が103万円以下なら親の税制扶養内
- 年間収入が130万円未満なら親の社会保険扶養内(ただし月収平均にも注意)
- もし扶養を外れても学生は「勤労学生控除(最大27万円)」が利用できる
また、所得税がかかっても、確定申告や年末調整で還付されるケースも多いため、焦らず冷静に対処しましょう。
まとめ:123万円引き上げの話は現時点では「提言」段階
大学生のアルバイトにおける「扶養の壁」は、確かに就労意欲や時間調整に影響します。2025年時点では「123万円への引き上げ」は制度化されておらず、あくまで提言・議論中の段階です。
したがって、収入が103万円や130万円のラインを超えそうなときは、親の税制扶養・社会保険扶養それぞれにどう影響するかを確認することが大切です。
将来的な制度改正にも注目しつつ、今の制度の中で最適な働き方を見つけていきましょう。
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