フリーランスや自営業者の方で、長期間国民健康保険(国保)に未加入のまま高齢を迎えるケースが増えています。特に65歳からは介護保険の第1号被保険者となり、また68歳以降に遡って国保に加入した場合、どこまでの負担が求められるのか心配になる方も多いでしょう。この記事では、介護保険と国保の遡及課税に関する注意点と、必要な対応について詳しく解説します。
65歳から介護保険料は納付義務が発生する
65歳になると、介護保険法上「第1号被保険者」に該当します。これは年金の受給有無にかかわらず、自動的に適用されます。したがって、国保や後期高齢者医療制度に未加入であっても、自治体から介護保険料の納付書が届くのが原則です。
例外的に、どの健康保険にも未加入で自治体に届出をしていない場合、納付書の送付が遅れるケースもありますが、基本的には行政によって把握され、通知が届くようになっています。
年金を受給していなくても介護保険料は発生する
多くの人が勘違いしやすいのが「年金受給していない=介護保険料不要」という認識です。これは誤りで、65歳以上のすべての方に介護保険料の納付義務があります。納付方法としては以下の2通りです。
- 年金受給者:年金から天引き(特別徴収)
- 年金未受給者:納付書または口座振替(普通徴収)
したがって、年金を受け取っていないフリーランスの方には自治体から納付書が届きます。
68歳で国保に加入した場合、どこまで遡って請求されるか
長期未加入者が68歳で国保に加入した場合、最大3年までの遡及が原則です。ただし、課されるのは医療分と後期高齢者支援金分、そして介護分(該当者のみ)です。具体的には以下のようになります。
- 医療保険分:3年分遡って請求される
- 後期高齢者支援金分:同様に3年遡及
- 介護保険料分:65歳以降、未納の場合は遡って請求される可能性あり
注意点として、所得に基づく計算となるため、課税所得の申告をしていなければ推定で算出されることもあります。さらに、加算金(延滞金)の対象となる場合もあるため、できるだけ早めに加入申請を行うことが望まれます。
介護保険料だけを納め続けることはできるのか
65歳を超えている方で、国保未加入の場合でも介護保険料だけを納付することは可能です。自治体の国保年金課などに申し出れば、「第1号被保険者」としての登録がなされ、普通徴収により納付書が発行されます。
これは制度上可能ですが、同時に国保への加入を勧奨されることが多く、放置すると遡及課税のリスクが高まります。自治体によっては、介護保険料納付の申出と合わせて国保の加入確認を行う体制になっています。
放置によるリスク:延滞金と法的手続き
長期未加入を放置しておくと、保険料の遡及だけでなく、延滞金や財産差押えなどの行政処分が行われる場合もあります。特に、過去に確定申告をしていて所得が判明している場合は、保険料計算の根拠が明確なため、迅速に請求が行われる傾向があります。
対策としては、68歳以前の段階で市区町村に相談し、納付計画の分割や減免制度を活用するのが有効です。
まとめ:未加入を続ける前に確認を
65歳からは介護保険の納付が義務となり、年金受給に関係なく請求対象となります。また、68歳以降に国保に加入した場合は、過去3年間の医療分・支援金分が遡及される可能性が高くなります。介護保険料だけを支払うことも可能ですが、放置による延滞金や差押えのリスクを避けるためにも、早めに自治体へ相談し、制度に基づいた手続きを行いましょう。
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