大学生でもアルバイトや副業で収入を得る人が増える中、「親の扶養を外れずにいくらまで稼げるのか?」という疑問を持つのは当然のことです。特に近年、制度が改正されたことで『103万の壁』や『130万の壁』など、昔ながらの考え方が通用しない場面も出てきました。この記事では、22歳以下の学生が扶養内でどれくらい稼げるのかを分かりやすく解説します。
そもそも「扶養の壁」とは何か?
「扶養」とは、所得が一定以下の家族を対象に、税金や社会保険料の負担を軽減できる仕組みです。よく聞く『103万円の壁』は、扶養される側の年間所得が103万円を超えると、親の所得税控除の対象から外れるというものです。
一方で『130万円の壁』は、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入義務が発生する基準となる収入額です。つまり、130万円を超えると学生であっても自分で保険料を払う必要がある可能性があります。
22歳以下の学生は「特定扶養親族」として優遇される
実は、高校卒業後〜23歳未満の学生は「特定扶養親族」として扱われます。この制度により、親の税金控除額が一般の扶養親族よりも増えます。
この「特定扶養親族」の制度によって、親の税制上の扶養から外れずに年収150万円まで稼げると言われることがありますが、正確には以下の点を理解する必要があります。
年収150万円までは親の控除が変わらない理由
学生がアルバイトなどで稼いだ場合、年間所得が48万円(給与所得控除額55万円+基礎控除額48万円)以下であれば、税法上の扶養に入ることができます。つまり年収103万円以内が目安となります。
しかし、親側の控除(特定扶養控除)については、子どもの所得が103万円以下であれば38万円の控除が可能で、19〜22歳の学生に限り最大63万円の控除が受けられるのです。つまり年収が103万円を超えると、親は控除が受けられなくなるため、150万円まで稼げるというのは誤解といえます。
年収103万円を超えるとどうなる?
例えば年収が105万円になると、本人に所得税が課税され、親は扶養控除を受けられなくなります。また、年収が130万円を超えると、勤務先によっては社会保険の加入が必要になる場合があります。
ただし、勤務日数や時間数などの要件を満たさなければ社会保険の加入対象外になる場合もあります。パートやアルバイトで「週20時間未満」「月収10.8万円未満」などの条件を意識すれば、扶養内での収入増加も可能です。
学生が扶養を意識して稼ぐ上での注意点
- 年間収入を常に把握しておく
- 130万円を超えると保険料の負担が増える可能性がある
- 副業やフリーランス収入がある場合は、雑所得や事業所得として確定申告が必要
例えば、ライター業やプログラミングなどで年間50万円稼いでも、それが雑所得として認定されれば扶養判定にも影響します。親の扶養内で収入を得たいなら、収入の種類や金額を正しく把握しましょう。
まとめ:22歳以下でも扶養のルールは慎重にチェックを
「19歳〜22歳は150万円まで扶養内でOK」という情報には誤解が含まれています。税法上の扶養を維持するには年収103万円以下を目安にし、社会保険の加入条件にも注意が必要です。収入を増やしたいときは、親の税控除や自身の保険加入にどう影響するかを考えながら計画的に働きましょう。
迷ったときは税理士や社会保険労務士に相談するのもおすすめです。あなたの状況に合った収入のバランスを見つけて、安心して働ける環境を整えていきましょう。
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