退職後に国民健康保険(国保)に切り替えたところ、保険料が大幅に上がって驚いたという声は少なくありません。特に前年の所得が影響するため、退職直後よりも翌年に負担が大きくなることがあります。本記事では国保の保険料が上がる理由や内訳、納得しやすい仕組み、そして節約対策まで詳しく解説します。
国民健康保険料の計算のしくみ
国保の保険料は自治体ごとに異なりますが、大きく分けて以下の3つの構成になっています。
- 医療分:医療費の給付に充てられる費用
- 後期高齢者支援金分:75歳以上の医療を支えるための費用
- 介護納付金分:40歳〜64歳の人が負担する介護保険の費用
これらに加え、均等割や平等割、所得割などによって金額が算出されます。前年の所得が高ければ、たとえ無職でも保険料は高くなることがあります。
前年の所得が影響する仕組み
国保の保険料は「前年の1月〜12月の所得」をもとに算定されます。たとえば2023年の所得が高かった場合、2024年度(4月〜翌年3月)の保険料は高くなります。これが「退職して収入が減ったのに保険料が上がった」という現象の原因です。
具体的に、2023年に給与所得があった人は、2024年度に所得割の計算対象になり、医療分・支援金分・介護分のそれぞれで影響を受けることになります。
後期高齢者支援金・介護納付金とは?
これらは加入者自身のための保険料ではなく、社会全体で高齢者医療や介護を支えるための制度です。
- 後期高齢者支援金:75歳以上の方の医療制度を支援する費用
- 介護納付金:40歳以上の人が負担し、将来的な介護保険の原資となる費用
前年は徴収されていなかったのに今年から加算されたというケースは、40歳を迎えた年や、前年の所得により初めて所得割が加算された年などに多く見られます。
保険料が高すぎると感じたときの対処法
自治体によっては、収入の減少や生活困窮に応じて「保険料の軽減制度」や「減免制度」が用意されています。条件に該当する場合、申請すれば保険料を減額できる可能性があります。
例:前年に退職し、今年は無職で収入がない場合、減免申請を行うことで医療分・支援金分・介護納付金分の一部が軽減されることもあります。
詳しくは、お住まいの自治体の国保担当窓口へ早めに相談しましょう。
具体的な軽減・減免制度の例
自治体ごとに異なりますが、以下のような軽減措置があります。
- 7割・5割・2割の所得割軽減:所得に応じた自動軽減
- 非自発的失業者への特例軽減:会社都合退職などで特例対象となるケース
- 災害・失業・病気による減免:申請により審査のうえ認定
必要書類としては、退職証明、所得証明、本人確認書類などが求められることが多いです。
まとめ
国民健康保険料が前年より高くなる理由は、主に前年所得が影響する仕組みにあります。また、医療費だけでなく後期高齢者支援金や介護納付金など、社会全体で支えるための項目も加算されているため、負担感が大きくなります。
ただし、収入が激減した方や生活に困っている方には救済措置があるため、自治体に早めに相談して減免制度を活用することが重要です。
コメント