家族からの金銭的支援や貯金が「知らないうちに」高額になっていた場合、それが贈与税の対象になるかどうかは多くの人が気になるところです。芸能人のエピソードやSNS投稿が話題になることもありますが、実際に税務署から目をつけられるとどんな影響があるのか、贈与税の基本とともに詳しく解説します。
贈与税とは?家族間でも課税対象になることがある
贈与税とは、他人から財産をもらった場合に発生する税金で、年間110万円を超える贈与が対象になります。親子や兄弟など家族間の贈与でも、非課税ではなく課税対象となる点に注意が必要です。
たとえば親が子ども名義の口座に毎年100万円ずつ振り込んでいても、それが形式的ではなく実質的に贈与されているとみなされれば、累積で贈与税の対象になります。
「知らないうちに貯まっていた貯金」も贈与に該当?
今回のように「親が勝手に積み立ててくれていた」としても、その口座が子の名義で、子自身がその口座を自由に使える状態にあったなら、その年ごとに贈与が成立していたとみなされます。
仮に10年間にわたって年間300万円ずつ(3人分で900万円)の贈与があったとした場合、超過分に対して毎年贈与税が課税される可能性があります。
贈与税の税率とシミュレーション
贈与税は超過金額に応じて10%〜55%の累進課税です。例えば、年間の贈与が310万円であれば、非課税枠110万円を差し引いた200万円に対して、以下の計算になります。
- 基礎控除後:200万円
- 税率:10%
- 控除額:0円
- 贈与税:200万円 × 10% = 20万円
これが10年間継続していた場合、未申告だと200万円近い納税義務が発生することもあります。
税務署がチェックするポイントとは?
税務署は銀行口座の動きや不自然な入金、マイナンバーを通じた財産情報などから、家族間の贈与でも見逃さずチェックする体制を整えています。特にSNSやメディアでの発言も、調査対象となるケースが実際にあります。
「口座に勝手に振り込まれていた」「知らなかった」という主張だけでは通用しないケースが多いため、税務上の正当性を証明する準備が必要です。
対策:適正な贈与手続きと申告のすすめ
年間110万円を超える贈与を受ける場合は、贈与契約書を作成し、必要に応じて贈与税の申告を行うことでリスクを軽減できます。また、毎年110万円以下に抑えることで非課税枠を最大限に活用する方法もあります。
さらに、「相続時精算課税制度」や「教育資金の一括贈与特例」などを活用すれば、大きな金額を非課税で渡すことも可能です。専門家との相談も視野に入れましょう。
まとめ:親の善意も“適切な管理”が重要
家族間での貯金や支援は愛情の形ですが、税務上は厳格なルールが適用されます。「気づいたら3000万円あった」では済まされない場合もあるため、金額の大きい贈与はしっかり記録・申告しておくことが重要です。
もし不安がある場合は、早めに税理士などの専門家に相談することで、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。
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