就業直後にけがをしたり病気になった場合、まだ健康保険証が発行されていないと医療費をいったん全額自己負担しなければならないことがあります。しかし、適切な手続きを踏めば後から保険適用分が返金される仕組みが整っています。本記事では、保険証未交付の際の対応や資格確認書の活用方法、返金申請の期限などについて詳しく解説します。
保険証が手元にないときに医療機関を受診するには
就職後や派遣開始直後に保険証の交付が間に合わないことは珍しくありません。このような場合、医療機関ではいったん医療費を全額(10割)支払う必要があります。
たとえば、入社して1週間後にケガをして通院した場合、保険証がまだ手元にないと窓口で全額を支払います。ですが、その後健康保険証が交付されれば、加入していた期間にさかのぼって自己負担割合が3割に修正され、7割が払い戻される仕組みになっています。
資格情報のお知らせと資格確認書の違い
「資格情報のお知らせ」は、健康保険に加入したことを示すものであり、正式な保険証や資格確認書の代用にはなりません。このため、医療機関では正式な証明書類とは認められず、返金請求や保険の適用には不十分です。
一方、「資格確認書」は健康保険証の代替として有効な書類であり、これを提示すれば保険証が未交付でも保険適用を受けることができます。派遣会社や勤務先の保険担当に申請すれば発行されますが、取得までに数日から2週間程度かかる場合があります。
医療費の返金申請と期限について
10割負担で支払った医療費は、健康保険組合に「療養費支給申請書」を提出することで、保険適用相当分(原則7割)が返金されます。この申請には保険証や資格確認書の写し、医療機関の領収書、診療明細などが必要です。
返金申請には2年の時効があるため、「当月中でなければ返金されない」というのは誤解です。ただし、月をまたいでから申請する場合、医療機関での取り扱いや支給のタイミングに差が生じる可能性があるため、早めの手続きをおすすめします。[参照]
マイナ保険証がない場合の対応
マイナンバーカードを使った「マイナ保険証」がなくても、紙の保険証または資格確認書で十分対応可能です。ただし、マイナンバーカードがあれば資格確認書を待たずに保険資格をオンラインで確認できるため、急な通院が予想される人には発行を検討する価値があります。
たとえば、資格確認書のダウンロードに時間がかかるケースでも、マイナ保険証ならすぐに本人確認と保険資格確認ができ、医療費の立替も不要になります。
実際のケース:派遣社員が受診時に困った事例
ある派遣社員の方は就業初日に通勤中に転倒し、病院で全額負担で治療を受けました。その後、保険証はまだ届いていないため、後日派遣会社から「資格情報のお知らせ」が郵送されましたが、これは保険証の代用にはならないと病院で言われ、返金手続きができませんでした。
この方は後日派遣会社のポータルサイトから資格確認書を申請し、約2週間後に書類を取得。その後、療養費申請書と一緒に健康保険組合に提出して、7割相当の返金を受けることができました。このように、時間がかかっても適切に手続きすれば返金は可能です。
まとめ:焦らず正しい手順で申請を
保険証が手元になくても、医療費は後から返金申請できます。資格確認書の取得やマイナンバーカードの活用により、迅速な対応も可能です。「当月中でないと返金されない」といった誤解に惑わされず、必要な書類を準備し、正しい手順で申請することが大切です。
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