厚生年金保険料は、毎年改定の可能性がある重要な社会保険制度の一部です。会社員や公務員など多くの方にとって、給与明細の中で気になる項目のひとつでしょう。本記事では、最近の保険料率の推移と、2024年度における変更の有無、さらにその背景についてわかりやすく解説します。
厚生年金保険料は毎年変わる?制度の基本を理解しよう
厚生年金保険料は、被保険者(労働者)と事業主(会社)がそれぞれ折半して支払う仕組みです。保険料率は全国一律ですが、法律に基づいて毎年見直しが行われており、過去には段階的に引き上げられてきました。
たとえば、2004年の年金制度改革では保険料率が毎年0.354%ずつ引き上げられ、2017年9月に18.3%で固定化されました。この数値が現在の標準です。
2023年から2024年にかけて保険料率は変わった?
結論から言えば、2023年から2024年にかけて「厚生年金保険料率そのもの」に変更はありません。全国的に18.3%のまま据え置かれています。
ただし、保険料の実際の負担額は「標準報酬月額」に基づいて計算されるため、昇給や定時改定、月額変更などによって金額が変わる場合があります。そのため「保険料が上がったように感じる」ことはあり得ます。
都道府県別の協会けんぽ(健康保険料)とは異なる?
厚生年金保険料は全国一律ですが、健康保険料(協会けんぽ)は都道府県ごとに料率が異なるため、「保険料が上がった」と感じた場合、それは健康保険料の改定の可能性もあります。
たとえば東京都の協会けんぽ保険料率は2023年度から2024年度にかけて9.81%から9.98%に上昇したため、総合的な社会保険料が増加する原因となります。
給与改定・等級変更による保険料増加の例
たとえば、ある従業員が2023年10月に月給28万円から30万円に昇給した場合、標準報酬月額が変わることで、厚生年金保険料の徴収額も増加します。このようなケースでは、保険料率が変わらなくても支払額が増えるため「保険料が上がった」と感じるのです。
また、年1回の定時決定(7月実施)や随時改定(昇給・降給など)によっても保険料の変更が反映されます。
将来の引き上げはある?少子高齢化と財政状況
現在は18.3%で固定化されている厚生年金保険料ですが、将来的な財源不足が懸念されており、制度見直しの議論は継続されています。少子高齢化が進む中で、負担と給付のバランスを保つために、新たな改革が行われる可能性もあります。
政府が示す「年金財政検証」などでは、今後の持続可能性を見極めるための試算が提示されており、関心を持っておくべき分野です。
まとめ:保険料率は据え置きでも、支払額が増える要因に注意
厚生年金保険料率は2024年度も変わらず18.3%のままです。しかし、標準報酬月額の変化や健康保険料率の改定など、さまざまな要因で実際の支払額は増減します。「保険料が上がった」と感じたら、給与や保険料通知をよく確認してみましょう。
制度を正しく理解し、将来に備えて計画的な資金管理を心がけることが大切です。
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