会社を退職して健康保険の切り替え手続きを行う前に通院予定がある場合、「保険証がなくても医療費は一部負担で済むのか?」と不安に感じる方は多いでしょう。特に市役所の休業日などで手続きが間に合わないケースも珍しくありません。本記事では、退職直後に保険証が手元にない状態で医療機関を受診する際の対応と、後日還付が受けられるかどうかについて詳しく解説します。
退職後すぐは健康保険が切れている?
会社を退職した時点で、会社の健康保険の資格はその日付をもって喪失します。そのため、翌日からは原則的に無保険状態となり、医療費は全額自己負担(10割負担)となります。
すぐに国民健康保険や任意継続の手続きを行えば、加入日から医療費の3割負担が適用されますが、切り替えの手続きが済んでいない間は保険証が発行されていないため、医療機関で保険を使うことはできません。
保険証が手元にないまま受診した場合の対応
このような場合、医療機関では「全額自己負担」での診療となるのが通常です。マイナンバーに保険証情報を連携している場合でも、退職によって資格が失効していると、受診時に無効と判断されるため、保険証として機能しません。
ただし、後日保険の加入手続きを済ませれば、支払った医療費の一部(7割相当)を「療養費の支給申請」という形で還付してもらえる可能性があります。
療養費の支給申請とは?返金の条件と手続き
療養費の支給申請とは、保険証がないまま受診しやむを得ず全額自費で支払った場合、後から加入した保険者に申請することで、本来の負担額との差額を返金してもらえる制度です。
申請に必要なものは以下の通りです。
- 診療明細書・領収書
- 支給申請書(保険者から取得)
- 本人確認書類や通帳
- 保険証(加入後)
例えば、退職後すぐの土曜日に歯医者へ行き10,000円を支払った場合、月曜に国民健康保険へ加入手続きを済ませていれば、その後「療養費支給申請」を行うことで7,000円程度が還付されます。
休日に受診予定なら準備すべきこと
市役所が閉まっていて保険証の切り替えができない場合でも、受診前にできる対策はあります。
- 保険証が無効になる日を確認(退職日)
- 診療費を一時的に立て替える準備
- 診療明細・領収書は必ず保管
- 受診後すぐに役所で加入手続きを行う
なお、通院先によっては「あとから保険証を持参すれば差額返金可能」としてくれる場合もあります。事前に受付へ事情を伝えて確認しましょう。
マイナンバーカードと保険証連携の注意点
マイナンバーカードを保険証として登録している場合でも、退職によって健康保険の資格がなくなると、その機能も無効になります。自動的に国民健康保険へ切り替わることはないため、受診前に加入手続きをする必要があります。
したがって、保険証の切り替えが完了していない状態でマイナンバーカードを提示しても、医療機関側で「資格なし」と判断される可能性が高いです。
まとめ:一時的な自費でも後日返金は可能。ただし手続きは必須
退職日翌日以降に保険証が手元にない状態で通院した場合、基本的には10割負担の自費になりますが、後日保険に加入した上で療養費支給申請を行えば還付を受けることができます。
市役所が休みで手続きができない場合でも、明細と領収書の保管を忘れず、受診後に速やかに保険の切り替えと申請を行うことが大切です。
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