家計の見直しを考える際、「エンゲル係数」という言葉を耳にすることがあります。これは食費が家計に占める割合を表す指標であり、暮らしの余裕度や経済的な健全性を判断するうえでとても重要なヒントとなります。
エンゲル係数とは何か？
エンゲル係数とは、消費支出に占める食費の割合のことを指します。数式で表すと「エンゲル係数 ＝ 食費 ÷ 消費支出 × 100（％）」です。例えば、月の消費支出が20万円で食費が5万円なら、エンゲル係数は25％になります。
この指標は、ドイツの統計学者エルンスト・エンゲルに由来し、所得が低くなるほど食費の占める割合が高くなる傾向があるとされています。
エンゲル係数の目安はどれくらい？
エンゲル係数が高いかどうかは、その人の生活スタイルや地域、家族構成にもよりますが、以下が一般的な目安とされています。
- 20％以下：ゆとりある家計
- 20～25％：平均的な家計
- 25％以上：やや苦しい家計
- 30％以上：家計圧迫の可能性あり
総務省の「家計調査（2023年）」によると、2人以上世帯の平均的なエンゲル係数は約25％前後です。つまり、それを上回る場合はやや食費に偏っている可能性があります。
なぜエンゲル係数が高くなるのか
エンゲル係数が高くなる原因にはさまざまありますが、代表的なものは以下の通りです。
- 外食やコンビニ利用の頻度が高い
- 食材の価格高騰（インフレの影響）
- 子どもの成長による食費の増加
- 健康志向で高品質な食材を購入している
たとえば、共働き家庭で時間がなく、ついテイクアウトや外食を選ぶと、1食あたりのコストが高くなりやすく、結果としてエンゲル係数が上昇しやすくなります。
エンゲル係数が高いと何が問題か？
エンゲル係数が高いということは、それだけ可処分所得が食費に偏っていることを意味します。そのため、貯蓄に回す余裕が少なくなったり、他の支出（教育費・住居費・娯楽費など）が圧迫されたりするリスクがあります。
特に物価上昇の局面では、無意識のうちに食費が増えてしまい、家計にゆとりがなくなっていくケースが多いため注意が必要です。
エンゲル係数を見直す具体的な方法
エンゲル係数が高めと感じたら、次のような見直しが効果的です。
- 食費の予算を月初に決めておく
- まとめ買いと冷凍保存を活用
- 安売りや特売日を活用して計画的に買い物
- お弁当や自炊の頻度を増やす
たとえば1日1回外食していた家庭が、週に3回自炊に切り替えるだけでも、1カ月で1万円以上の節約になることがあります。
生活スタイルに合ったバランスを探そう
エンゲル係数はあくまで家計のバランスを見直すための指標のひとつです。健康やQOL（生活の質）を損なわないよう、自分たちのライフスタイルに合った最適なバランスを見つけることが大切です。
「食費を削る＝質素な生活」ではなく、「支出を見える化し、賢く選ぶ」ことがエンゲル係数の改善につながります。
まとめ：エンゲル係数を見直して豊かな暮らしへ
エンゲル係数が高いからといって焦る必要はありませんが、家計の健康診断として一度見直してみるのはとても有益です。食費の中身や支出バランスを丁寧に確認することで、無理なく家計改善につなげられます。
自分たちの生活に合った節約術を取り入れながら、ゆとりある暮らしを目指しましょう。
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