郵便局の養老保険は、満期まで保有すると満期保険金と死亡保険金が同額で受け取れるという特徴があり、貯蓄と保障を両立した保険商品として根強い人気があります。しかし、何らかの事情で途中解約を検討する方も少なくありません。今回は、養老保険を途中で解約した際に戻る「解約返戻金」の仕組みと、具体的な契約例に基づいた返戻金の目安をご紹介します。
養老保険の基本構造と解約返戻金の仕組み
養老保険は、満期時に満期保険金が支払われると同時に、死亡時にも同額の死亡保険金が支払われる仕組みの保険です。掛け捨てではなく、保険料の一部が貯蓄に充てられるため、解約した際には「解約返戻金」が戻ります。
しかしこの返戻金、契約初期のうちは払込保険料よりも大幅に少ない金額になるのが一般的です。これは、保険会社の事務手数料や保険管理コストなどが差し引かれるためです。
解約返戻金はいつから増え始めるのか
一般的に、契約から数年が経過してようやく返戻率(払込保険料に対する返戻金の割合)が上昇してきます。契約後すぐに解約すると元本割れの可能性が非常に高く、保険料を支払った金額の半分以下しか戻らない場合もあります。
例えば、契約3年以内に解約した場合は返戻率が30〜50%程度、7年目以降になると80%を超えてくることもあり、満期直前になると100%を超えるケースもあります。
契約例:毎月30,100円×10年契約のケース
たとえば、毎月30,100円を10年間(計120回)支払う契約で総支払額は約3,612,000円になります。この契約を5年(60回)で解約した場合、返戻率は約60〜70%前後と想定され、戻る金額はおおよそ180〜210万円程度が目安になります。
一方、契約から8年以上経過してから解約すれば返戻率は90%前後になることもあり、解約返戻金は約260〜320万円前後まで上昇することがあります。ただし、契約内容や年齢・性別、契約時期によっても返戻率は異なるため、実際の数値は契約証書や解約見積書で確認する必要があります。
途中解約時のデメリットと注意点
養老保険を途中解約する際は以下の点に注意しましょう。
- 返戻金は元本割れする可能性が高い
- 満期保険金・死亡保障の権利を失う
- 契約時の予定利率が高い場合、資産運用上の損失になることも
また、保険を解約して得た返戻金が一定額を超えると、所得税の対象になることもありますので、税務上の影響にも配慮が必要です。
解約前に検討すべき選択肢
急な出費などで解約を考えている場合でも、次のような代替案を検討することをおすすめします。
- 払い済み保険への変更:これ以上保険料を払わずに保障を継続できる方法
- 保険料の一時停止:一定期間だけ保険料の支払いを猶予してもらえる場合も
- 契約者貸付制度の利用:保険会社から契約を担保にお金を借りる制度
いずれも解約せずに保障や資産価値を保持する方法なので、まずは保険会社や郵便局に相談してみましょう。
まとめ|解約返戻金は契約年数とタイミングが鍵
郵便局の養老保険を途中解約した場合、返戻金は支払期間や契約内容によって大きく異なります。月額30,100円を10年間支払う契約では、解約タイミングによって返戻金は大きく変動し、特に契約初期の解約は大幅な元本割れとなる可能性があります。正確な返戻金は保険証書や郵便局での試算に基づくことが最善ですので、まずは具体的な見積もりを依頼してから判断することをおすすめします。
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