農地を売却すると、通常の年金受給とは異なり「譲渡所得」が発生するため、確定申告が必要になります。「今まで申告したことがない」「税理士に頼らず自分でできるか不安」という方も、基本的な知識を押さえればご自身で対応することは十分に可能です。この記事では田んぼの売却に関する確定申告の手順を、わかりやすく解説します。
なぜ田んぼの売却に確定申告が必要なのか
田んぼなどの不動産を売却すると、譲渡所得税が発生する可能性があります。これは「利益が出た場合に課税される税金」であり、サラリーマンや年金受給者でも売却益があれば申告義務があります。
たとえば、取得費100万円の農地を300万円で売却すれば、差額の200万円が譲渡所得(※概算)となり、課税対象になります。課税方法は「申告分離課税」です。
申告に必要な書類と準備する情報
確定申告に必要な主な書類は以下のとおりです。
- 売買契約書(譲渡金額がわかるもの)
- 取得費の証明(購入時の契約書や登記簿など)
- 売却に要した費用(仲介手数料や登記費用)
- 土地の取得時期や所有期間がわかる資料
- 本人確認書類、マイナンバー
- 確定申告書Bと分離課税用の申告書第三表
売却した田んぼが祖先からの相続である場合、取得費の証明が難しいこともありますが、その際は「概算取得費(売却額の5%)」を用いることも可能です。
自分で確定申告は可能?e-Taxでの申告も視野に
国税庁の公式サイトには「譲渡所得の申告書作成コーナー」があり、初心者でも案内に従えば作成できる仕様になっています。
また、e-Taxを利用すれば、自宅からオンラインで提出も可能です。マイナンバーカードやICカードリーダーが必要な場合もありますが、便利な方法の一つです。
税理士に依頼すべきケースはどんなとき?
以下のような場合には税理士の利用を検討すると良いでしょう。
- 相続による農地で取得費の把握が困難
- 複数の土地や建物を売却している
- 損益通算や繰越控除など複雑な要件が絡む
逆に、単純な農地売却1件だけで、譲渡益がはっきりしている場合は、自力でも十分対応できます。
売却時期と申告のタイミング
譲渡所得の申告は、売却した年の翌年2月16日~3月15日の間に行う必要があります。
たとえば2025年7月に売却した場合、2026年2月~3月の確定申告で提出すべきです。申告が遅れると延滞税や無申告加算税が課せられる可能性があるので注意しましょう。
まとめ:田んぼの売却申告は事前準備がカギ
田んぼの売却による確定申告は、一見ハードルが高く感じるかもしれませんが、書類の準備と基本知識があれば自分で対応することも可能です。年金受給者であっても、譲渡所得が発生すれば申告が必要になります。
まずは必要な書類を集め、譲渡益の概算をしてみましょう。不安がある場合は、税務署や無料相談会、あるいは税理士の初回相談を活用するのも一つの方法です。
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