フリーターやパートタイム勤務者にとって、複数のバイト先で働くことは珍しくありません。しかし、それぞれの職場で社会保険(厚生年金・健康保険)に加入すべきかどうかは、多くの人にとって分かりにくい問題です。今回は、掛け持ちで働く場合の社会保険加入ルールと注意点について詳しく解説します。
社会保険の加入条件と基本ルール
社会保険(健康保険と厚生年金)に加入するためには、原則として1つの勤務先で以下の条件を満たす必要があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 勤務期間が2ヶ月以上見込まれる
- 学生でない
- 常時501人以上の企業(または労使合意による中小企業)
上記すべてを満たすと、「短時間労働者」として社会保険の加入義務が発生します。
掛け持ち勤務(複数事業所勤務)の場合の取り扱い
重要なのは、社会保険の加入は勤務先ごとに判断されるということです。つまり、2つのバイト先で働いていても、それぞれの勤務先で加入条件を満たしていなければ、社会保険の加入義務はありません。
一方で、もし両方の勤務先で加入条件を満たす場合は、「合算して」ではなく、「それぞれで」判断されます。そして、通常はどちらか一方の勤務先のみで社会保険に加入することになります。
現在のケース:一方で加入していれば基本的には問題なし
今回のように、A社で社会保険加入済みであり、B社では「非加入」となっているケースでは、B社側が加入条件を満たしていなければ、そのままで問題ありません。
たとえ週20時間以上働いていても、月収が8.8万円未満だったり、労使合意がなかったり、企業規模が小さかったりすれば、加入対象外になります。
B社から何も言われないときの対応
もしB社でも加入条件をすべて満たしている場合は、本来であれば加入手続きが必要です。ですが、B社が制度上の認識不足や事務手続きの関係で未対応のままにしている可能性もあります。
そのため、気になる場合はB社の担当者や社労士に「加入条件を満たしているか」確認してみるのが安心です。
ダブルワーク時の雇用保険と税金の注意点
社会保険以外にも、雇用保険は原則1社での加入となります。ただし、どちらの勤務先も雇用保険の加入条件(週20時間以上・31日以上の見込みなど)を満たす場合、メインで働いている勤務先に加入する形が一般的です。
また、所得税や住民税については、年末調整や確定申告が必要になる場合があるので、ダブルワークの収入を正確に把握しておくことが大切です。
まとめ:掛け持ち勤務でも加入義務は職場単位で判断
社会保険は、掛け持ちで働いているからといって自動的に2箇所で加入が必要になるわけではありません。それぞれの勤務先で個別に加入条件を満たしているかで判断されます。現状でA社で加入しており、B社が条件を満たしていない、または手続きが行われていないのであれば、大きな問題はないケースが多いでしょう。気になる方は、一度B社に確認してみると安心です。
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