加給年金を確実に受け取るための最適な対策とは?配偶者の厚生年金加入年数に注意

税金、年金

加給年金は、老齢厚生年金に上乗せして支給される制度で、扶養家族の有無や配偶者の条件により受給資格が左右されます。特に配偶者の厚生年金加入期間が20年を超えると加給年金が支給されなくなる点は注意が必要です。今回は、配偶者の厚生年金加入期間が20年未満のうちに「非常勤役員」化するなどの対策が有効かを解説します。

加給年金の基本と支給要件

加給年金は、厚生年金保険の受給者に配偶者や子がいる場合に支給される制度です。対象となるのは、受給者が老齢厚生年金の受給開始年齢に達し、配偶者が65歳未満かつ年収850万円未満など一定の要件を満たす場合です。

ただし、配偶者が厚生年金に20年以上加入していると「加給年金は不支給」となる点が2022年度の制度改正以降、大きなポイントとなっています。

厚生年金加入20年超で加給年金は不支給

2022年度の年金制度改正により、配偶者が厚生年金加入期間が20年以上の場合、加給年金の支給対象外となります。これまでは収入や年齢のみが要件でしたが、この改正により厚生年金加入期間の長さが新たな重要指標となりました。

そのため、加給年金を将来的に確実に受け取りたい場合、配偶者の厚生年金加入年数が19年11ヶ月で止まるよう調整する必要があります。

「非常勤役員」への切り替えによる厚生年金脱退は可能か?

法人の役員でも「常勤」から「非常勤」になれば、報酬要件を満たさず厚生年金の加入対象外となる場合があります。これは法的にも問題ない方法ですが、実態としての勤務内容が常勤と判断されれば、後に遡って加入とされるリスクもあるため注意が必要です。

事前に社会保険労務士や税理士などに相談し、実態に合わせた役員区分の変更を明確にし、就業規則や登記内容にも反映させておくことが重要です。

年金受給額のシミュレーションと損益分岐点

加給年金は2024年度現在、配偶者に対して年間約39万円支給され、65歳までの最大5年間で合計200万円以上の支給が見込まれます。一方、厚生年金にさらに数年加入することで年金額が月数千円上がる程度である場合、長期的に見れば加給年金の方が受給額が多くなるケースが一般的です。

例として、加給年金が5年間で200万円、厚生年金の上乗せが月3000円×20年=72万円だとすると、前者の方が明らかに有利です。

加給年金の維持のために考慮すべきデメリット

厚生年金加入を途中でやめることにより、配偶者自身の老齢厚生年金額が将来的に少なくなるというデメリットもあります。また、健康保険・介護保険の被用者保険のメリットを失う可能性もあります。

また、非常勤役員化によって企業の登記変更や保険制度の手続き、役員報酬の見直しなど、多方面に影響を与える点も見逃せません。

まとめ:加給年金を重視するなら20年加入前に対策を

配偶者の厚生年金加入期間が20年を超えると加給年金の支給資格を失うため、19年台で加入を終了させることは合理的な選択肢です。そのために「非常勤役員」として社会保険適用外にする手段は有効ですが、形式的な変更ではなく、実態と整合性の取れた対応が求められます。

加給年金は長期に渡って生活の支えになる可能性がある制度です。収支シミュレーションを行い、必要に応じて専門家に相談のうえ、適切な対策を講じましょう。

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