退職後の健康保険の選択肢として「任意継続被保険者制度」と「国民健康保険」があります。どちらを選べば保険料を抑えられるのか、迷う方も多いのではないでしょうか。本記事では両者の制度の違いや、保険料の比較、選び方のポイントなどを具体例を交えて解説します。
任意継続と国民健康保険の制度の違い
任意継続被保険者制度は、会社の健康保険を最長2年間継続できる制度です。退職前に2ヶ月以上その保険に加入していた人が対象で、加入手続きを退職日から20日以内に行う必要があります。
一方、国民健康保険は市区町村が運営しており、会社を退職した場合に自動的に切り替わるわけではないため、自分での手続きが必要です。加入者の前年所得や世帯人数に応じて保険料が決まるのが特徴です。
保険料の比較:どちらが安くなる?
一般的には、任意継続の方が退職直後は保険料が高くなる傾向にあります。なぜなら、現役時代は会社が折半していた保険料を、退職後は全額自己負担するためです。
一方で、前年の収入が減っていたり、扶養家族が多い場合は国民健康保険の方が安くなるケースもあります。市区町村によっては、退職者に対する減免制度が用意されていることもあります。
具体的な保険料例(東京都・40代独身・年収400万円)
任意継続:標準報酬月額28万円の場合、約28,000円~30,000円程度/月。
国民健康保険:前年年収400万円・独身世帯の場合、約20,000円~25,000円程度/月(地域差あり)。
このように、状況によっては国民健康保険の方が割安になることもあります。
保険料以外の比較ポイント
保険料だけでなく、保険証の使い勝手や給付の内容にも違いがあります。任意継続では、基本的に現役時代と同じ保険証・給付内容が継続されます。保険組合によっては、出産手当金や傷病手当金の対象外になるケースもあるため注意が必要です。
国民健康保険では、給付が健康保険よりも限定的で、傷病手当金などが基本的にありません。家族が多く扶養範囲が広い場合は、給付の観点でも慎重に比較する必要があります。
どちらを選ぶべき?判断のためのチェックリスト
- 前年の年収が高い → 任意継続の方が割高になりやすい
- 扶養家族が多い → 国民健康保険の方が安くなる可能性あり
- 退職後すぐに再就職しない → 任意継続で給付継続を優先するのも可
- 市区町村での減免制度 → 国保でも大幅に安くなる可能性あり
実際の判断には、両方の見積もりを取り比較するのが最も確実です。自治体の窓口と、健康保険組合に問い合わせて金額を把握しましょう。
まとめ:状況によってお得な選択肢は変わる
健康保険の任意継続と国民健康保険は、それぞれにメリット・デメリットがあります。単純に「どちらが安い」とは言えず、年齢、世帯構成、前年の収入、自治体の制度などによって異なります。
退職後の生活設計にも関わる重要な選択ですので、見積もりを取りつつ、必要であれば社会保険労務士や自治体窓口にも相談してみると安心です。
コメント