「がんと診断されたら200万円」といった給付金制度はよく聞きますが、「風邪で500万円」といった話は聞いたことがない人がほとんどでしょう。この記事では、医療保険や給付金制度の仕組みを理解しながら、なぜがんには高額保障があり、風邪にはそれがないのかをわかりやすく解説します。
なぜがんには高額な給付金が出るのか
がん保険では「診断給付金」として、初回のがんと確定診断された時点で一時金が支払われるタイプの保障が多く存在します。これは、がん治療において発生する初期の経済的インパクト(休職・治療費・通院費など)が非常に大きいためです。
たとえば、がんと診断されると公的医療保険ではカバーしきれない高度医療や自由診療を選ぶことも増え、入院日数や通院回数も長期にわたる傾向があります。その結果、まとまった資金が求められるため、給付額も大きく設定されているのです。
風邪などの軽微な病気では高額給付がない理由
一方、風邪やインフルエンザのような一時的・軽症な疾患は、通常の通院治療で完結するため、医療費負担も少なく、生活への影響も限定的です。そのため、医療保険においてはこうした病気に対する給付金は基本的に「通院給付金」や「医療費実費型」の小規模な給付にとどまります。
例として、風邪で病院に1回通ったとしても、公的保険で3割負担として2,000〜3,000円の自己負担程度です。このため、民間保険会社が高額な給付金を用意する意義がないと判断されています。
実際の医療保険ではどうカバーされているか
がん・脳卒中・急性心筋梗塞などは「三大疾病」として特別に保障対象とされており、診断給付金や長期入院保障が手厚く設計されています。一方、日常的な病気やケガは「入院日額◯円」「通院日額◯円」などでカバーされます。
例えば、A社の医療保険では「入院1日あたり5,000円、通院1日あたり2,000円」が給付対象とされており、風邪による通院2回なら4,000円が支払われる程度です。これが現実的なラインです。
例外的な給付があるケースも
一部の医療保険や共済では、定期的な給付金(例:健康祝い金)や、就業不能保険のように働けなくなった場合の収入補償型保険が存在しますが、これらも風邪で対象になるのは稀です。医師の指示による長期療養などがない限り、対象外になることが多いです。
高額給付がある=重いリスクと認識されている
保険の基本は「まれに発生するが、発生した際の損害が大きいリスク」に備えるものです。がんや大病は、治療に長期を要し、生活費や収入にも大きな影響を与えるため、保険会社も手厚い保障を設計しています。
風邪のように自然回復しやすく、公的保険内でほとんどの費用が賄えるような疾病には、原則として高額の保険金は設定されていません。
まとめ:風邪に高額保障がないのは合理的
がんに対して高額の給付金が設定されているのは、その治療費・経済的損失・生活への影響が極めて大きいためです。一方で風邪などは、比較的短期間で治る上に費用負担も軽いため、高額保障の必要がなく、現実的な保険設計では給付対象外となるのが一般的です。
保険はリスクに備えるものであることを理解し、自分に合った保障内容を選ぶことが大切です。
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