インターネットバンキングは便利な反面、サイバーリスクの懸念から高額資産保有者の中には「ネットバンキングを使わない」という判断をする人もいます。億単位の預貯金を持つ人たちはどのように資産を管理しているのでしょうか。本記事では、その実態や安全対策について詳しく解説します。
ネットバンキングを使わない理由とは?
まず、ネットバンキングをあえて利用しない主な理由はセキュリティ上のリスク回避です。
特に高額資産保有者はサイバー攻撃による不正送金やフィッシング詐欺の対象となりやすいため、口座の操作は店舗や専用電話回線でのみ行うように制限していることがあります。
また、資産が大きい場合、そもそも日常的に口座操作を必要としないという事情もあります。資金は信託口座や貸金庫、複数の金融機関に分散されており、頻繁に出し入れする運用資金とは別管理となっているケースが一般的です。
資産家が採用する預金管理の具体例
ある資産家は、以下のような方法で資金を管理しています。
- 主要銀行で複数口座を使い分け、全てにネットバンキング機能は未設定
- 預金残高の確認や振込依頼はすべて専任の担当者(プライベートバンカー)を通じて電話や書面で行う
- 多額の資産は信託口座に移し、本人が簡単にアクセスできないよう管理
このように、「利便性より安全性を優先」する姿勢がうかがえます。
ネットバンキングを使う資産家も存在する
一方で、ネットバンキングを活用している資産家も少なくありません。特に自分で運用を行う投資家や、不動産管理会社を持つオーナーは資金の移動が日常的に必要なため、ネットバンキングの導入は不可欠です。
その代わり、以下のような高度なセキュリティ対策を講じています。
- 専用端末でのみアクセス
- 二段階認証+ハードウェアトークンを併用
- ネットバンキング利用専用の口座を用意し、主口座とは別にする
資産規模に応じたセキュリティ設計が鍵
ネットバンキングを使うか否かの判断は、資産の金額以上に「どのように資金を使うか」によります。
長期保有の定期預金や信託預金を持つだけであれば、ネットバンキングを使う必要はほとんどありません。一方、日々の振込や投資などで資金を動かす場合は、利便性を犠牲にすることが難しくなります。
金融機関との付き合い方も重要
資産家は大手金融機関との関係性を構築しており、プライベートバンキング(PB)部門を活用することが多いです。
PBでは、顧客ごとに専任の担当者がつき、資産の運用だけでなくセキュリティや税務対策もサポートしてくれます。このような体制を利用すれば、ネットバンキングに依存せずとも快適に資産管理が可能になります。
まとめ
億単位の預貯金を持つ人の多くは、セキュリティを最重視し、ネットバンキングをあえて利用しないケースもあります。
一方で、適切な対策を講じたうえでネットバンキングを活用する資産家も存在し、どちらを選ぶかはライフスタイルや運用方法次第です。大切なのは、自分の資産規模とニーズに応じたセキュリティ設計を行うことです。
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