「最近、クレジットカードやローンの審査が厳しくなった」と感じている方も多いでしょう。実はその背景には、過去のバブル経済時代の出来事や、現代の経済環境、規制強化などさまざまな要因が絡んでいます。本記事では、審査が厳格化された理由を歴史的背景とともに解説します。
バブル期の無謀な貸付とそのツケ
1980年代後半のバブル景気時代、日本では「土地神話」や「終身雇用」への過信により、カード会社・信販会社・銀行などが積極的に貸付を行いました。限度枠を拡大し、審査も緩く、まさに“貸し放題”の時代でした。
その結果、バブル崩壊後には返済不能者が続出。個人破産や債務整理が急増し、金融機関は巨額の不良債権を抱えることになりました。これが後の「貸し渋り」や「審査の厳格化」につながったのです。
2000年代以降の過払い金請求と総量規制
バブル後の金融緩和により、消費者金融や信販会社はリボ払いやキャッシングなどで再び貸付を加速させますが、これも過剰貸付を生み、過払い金訴訟が相次ぎました。
2006年以降、改正貸金業法により「総量規制(年収の3分の1以上は貸し付け不可)」が導入され、審査の透明化・厳格化が求められるようになりました。これにより、カード会社は与信に対して慎重な姿勢を取らざるを得なくなったのです。
現代の審査が厳しい本当の理由
過去の失敗を繰り返さないためだけでなく、現代では以下の要因も審査の厳格化に影響しています。
- 個人信用情報の可視化:CICやJICCなどにより返済履歴が共有されている
- AIによるリスクスコア分析:属性・収入・勤務年数などで自動評価
- インフレ・金利上昇リスク:貸倒れリスクが高まっている
- 金融庁の指導:与信管理体制の強化が義務付けられている
つまり、現代の審査の厳しさは「過去のバブルや破産者の反省」と「今の経済・テクノロジーに基づいた信用管理」の両面が影響しています。
実例:どのような人が審査に落ちるのか?
たとえば以下のような状況にある方は、審査で落とされるリスクが高くなります。
- クレジットヒストリー(信用情報)に長期延滞歴がある
- 短期間に複数のカード・ローンに申し込んでいる
- 年収に対する借入比率が高い
- 転職回数が多く、勤務年数が短い
逆に、毎月の支払いを遅れずに行い、年収に見合った借入であれば、過去のバブルとは関係なく信頼を得ることが可能です。
バブル期と現代の与信管理の違い
バブル期:
・担保や保証人が重視され、借入額が大きくても審査は緩い傾向。
・個人信用情報の管理が未整備。
現代:
・スコアリングと信用履歴が重視され、収入や勤務先の安定性も加味。
・金融機関間で情報共有されており「逃げ道」がない。
まとめ:バブルの教訓+現代の管理強化が理由
カード会社やローン会社が審査を厳しくするのは、確かにバブル期の「貸しすぎ」の反省がありますが、それだけではありません。現代の金融業界は、より安全で透明な貸付を目指しており、利用者にも自己管理が求められる時代となっています。
安定した収入と信用情報の積み上げが、厳しい審査を乗り越えるカギです。審査に落ちたからといって一概に過去の人のせいではなく、自分の現状を客観的に見直すきっかけと捉えることが重要です。
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