65歳以上の平均貯蓄額「4,000万円超」は本当か?統計データの見方と現実の生活実態

家計、節約

近年、メディアなどで話題となっている「65歳以上の平均貯蓄額は4,000万円超」という情報に驚かれた方も多いかもしれません。しかし、実際の生活感覚と大きく乖離していると感じる声もあり、数字の裏側を読み解くことが大切です。本記事では、高齢者の貯蓄に関する正しい統計の見方や注意点について詳しく解説します。

「平均4,000万円」という数字のカラクリ

「65歳以上の平均貯蓄が4,000万円超」というデータは、Yahoo!ニュース等でも報じられました(参照)。しかし、これは「平均値」であるため、一部の富裕層が全体の数字を押し上げている可能性があります。

実際の生活実感では「そんなに持っていない」「家計はカツカツ」と感じている人が多く、平均値だけで高齢者全体を語るのは危険です。

「中央値」と「分布」で見ると違う景色が見える

より実態に近いデータとしては、野村総合研究所が発表している純金融資産の保有層別構成データが参考になります(参照)。この資料では、「3,000万円以上保有している人は何%か」「1,000万円未満はどのくらいか」などが明示されています。

例えば、3,000万円以上の純金融資産を保有している世帯は全体の約13%程度しか存在せず、中央値で見ると老後の貯蓄額はもっと現実的な水準であることがわかります。

地方の暮らしと貯蓄事情の現実

地方在住者の場合、給与水準が都市部に比べて低い傾向があり、教育費や住宅購入、車の維持費などで貯蓄に回せるお金は限られています。

たとえば、夫婦で地方勤務(年収450万+350万)、子ども2人が県外の大学に進学、住宅ローン・車2台を保有というモデルでは、毎月の支出が高くなり、貯蓄のペースは落ちやすくなります。

平均に惑わされない「等身大の家計管理」を

老後資金の不安から「もっと貯めなきゃ」と焦るのは当然ですが、大事なのは「自分に合ったペースで備えること」です。無理な投資や焦って保険に加入する前に、まずは現状の見直しから始めましょう。

  • 生活費の固定費見直し
  • 退職金や年金の受取額をシミュレーション
  • 可能な範囲で積立投資(iDeCo/NISAなど)

また、必要に応じてFP(ファイナンシャルプランナー)への相談も有効です。

メディアに踊らされず、統計リテラシーを

情報社会では「平均値」や「最高額」ばかりが注目されがちですが、統計の裏にある「分布」や「中央値」を確認する習慣を持つことが重要です。

投資をすすめる内容やマネースクールなどの宣伝では、あえて高い数値を使って不安を煽る手法もあります。情報の出どころやデータの信頼性を確認する癖をつけましょう。

まとめ|正しく知れば焦らず備えられる

「65歳以上の平均貯蓄4,000万円超」という数字はあくまで一部の高所得層による影響が強く、すべての高齢者が裕福なわけではありません。統計を鵜呑みにせず、分布や中央値を見ることで、より実態に即した見方ができます。

大切なのは、周囲と比べず、自分のライフスタイルと収入に見合ったマネープランを立てていくこと。焦らず、地道に、着実に準備していきましょう。

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