国民健康保険税の計算は、所得の種類や状況によって異なるため、確定申告をしている方にとっては混乱しがちです。特に事業所得が赤字の場合、「給与所得だけで課税されるのか?」「赤字は相殺されないのか?」といった疑問が多く寄せられます。今回は、マイナスの事業所得がある場合における国民健康保険税の計算方法について詳しく解説します。
国民健康保険税における「総所得金額等」とは?
国民健康保険税の計算基準となるのは、「総所得金額等」です。これは、確定申告で申告された所得金額の合計を意味し、以下のような所得が含まれます。
- 給与所得
- 事業所得(営業・農業)
- 不動産所得
- 利子・配当・雑所得など
ただし、課税対象とする際の「総所得金額等」は、損益通算後の所得が反映されるのが一般的です。
赤字の事業所得は給与所得と相殺される?
事業所得が赤字(マイナス)の場合、その赤字額は損益通算によって他の所得(たとえば給与所得)と相殺できます。これはあくまで所得税の計算における原則です。しかし、国民健康保険税では損益通算を行わない自治体もあるため、注意が必要です。
たとえば、給与所得が200万円、事業所得が▲50万円という場合、国税庁の計算上は150万円が課税所得になりますが、自治体によっては「事業所得が赤字でも給与所得200万円を基に保険税を計算」するケースもあります。
市区町村によって対応が異なることも
国民健康保険税の計算方法は、自治体ごとに条例で定められているため、損益通算の扱いや基準が異なることがあります。
たとえば、A市では「赤字の事業所得を差し引いた後の所得で算出」している一方、B市では「赤字分は加味せず、プラスの所得のみで算出」しているなど、実務上の対応に違いがあります。
したがって、ご自身の居住する自治体の保険税算定方法を確認することが大切です。
確定申告と国保税の整合性に違いが出ることも
確定申告では、すべての所得の損益通算を行って「総合課税所得」を導きます。しかし、国民健康保険税は「独自の所得基準」で計算されるため、必ずしも申告書の所得合計と一致しません。
特に、赤字があるにも関わらず、給与所得だけで保険税が決定されるケースでは、誤課税や計算ミスが発生している可能性もあります。心当たりがある場合は、自治体の国保担当窓口に確認することをおすすめします。
対処法と確認ポイント
赤字所得があるのに反映されていないと感じた場合は、以下のように対処しましょう。
- まずは自治体の国保担当に課税の根拠を確認
- 確定申告書控え(第一表・第二表)を手元に用意して確認
- 必要に応じて、修正申告や異議申し立てを検討
また、自治体のホームページで「国民健康保険税の算定方法」を掲載していることも多いため、こちらのような外部サイトや、各市町村のWebページも活用しましょう。
まとめ
国民健康保険税は、「赤字の事業所得がある場合に損益通算されるかどうか」が自治体ごとに異なります。給与所得しか反映されていないように見える場合でも、必ずしも誤りとは限りません。ただし、制度を誤解して保険税が過大に課されていることもありえるため、まずは自治体に確認し、必要に応じて手続きを取ることが重要です。
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