障害のあるお子さんが就職し、収入を得るようになった場合でも、一定の条件を満たせば「扶養」として認められるケースがあります。この記事では、扶養の定義や扶養手当の支給要件、障害者特例に関するポイントを詳しく解説します。
税法上の扶養と社会保険上の扶養の違い
「扶養」と一口に言っても、税法上の扶養と社会保険上の扶養では判断基準が異なります。税法上では、所得税や住民税の計算に影響する「扶養控除」があり、収入の上限が定められています。一方、社会保険上の扶養は、健康保険などの加入資格に関わる要素となります。
たとえば、年収150万円でもその内容(給与所得控除など)によっては、税法上の扶養控除の対象とならないことがあります。一方で、障害者控除や特定扶養親族などの制度を併用することで、一部控除が受けられる可能性もあります。
障害のある子どもが就職しても扶養手当の対象になり得るか
自治体や勤務先の就業規則によって「扶養手当」支給の条件は異なりますが、多くの企業や公的機関では、一定収入以下でかつ障害がある場合、年齢制限なしで扶養手当の対象とする特例を設けています。
実際に、地方公務員の扶養手当制度などでは「障害者である扶養親族は、年齢に関係なくかつ収入が一定額以下であれば支給対象」と明記されているケースもあります。たとえば、年間収入が130万円未満であれば認定対象となることが多いです。
社会保険上の扶養に該当するかの判断
社会保険上の扶養(健康保険の被扶養者)として認められるためには、年収が130万円未満であり、かつ生計を維持していると判断される必要があります。障害者特例により、180万円未満まで認められるケースもあります。
しかし、今回のように就職して社会保険に加入した場合は、自分自身で健康保険に加入しているため、親の扶養にはなりません。したがって、社会保険上の扶養からは外れることになりますが、税法上や扶養手当の観点では引き続き「扶養対象」となる可能性はあります。
障害年金受給との関係と将来的な影響
障害年金の審査中とのことですが、受給が決定すればその金額も扶養要件に影響を与える可能性があります。障害年金は非課税所得として扱われるため、税法上の扶養控除の対象判定には影響しにくい一方、トータルの収入判断では含められることもあります。
また、障害年金を受給することで、今後の扶養手当の金額や支給の可否が変わる場合もありますので、勤務先の人事部や税理士など専門家への相談が有効です。
具体的な手続きと確認ポイント
- 勤務先の就業規則で扶養手当の対象条件を確認する
- 所得の種類(給与・年金など)ごとの影響を整理する
- 障害者手帳の等級や公的証明があれば用意する
- 税務署や年金事務所など公的機関で確認する
扶養判定は複数の制度が関与するため、1つの基準だけで判断するのではなく、複眼的な視点が大切です。
まとめ:扶養の認定は制度ごとに異なる。正確な確認が大切
障害のある子どもが就職し、一定の収入を得ていても、扶養控除や扶養手当の対象となる可能性は十分にあります。制度によって判断基準は異なりますので、「収入額」「保険加入状況」「障害の有無」など複数の要素を整理し、勤務先や専門家に相談することが重要です。
不安な場合は、国税庁の公式ガイドや年金機構の被扶養者に関する説明も参考になります。
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