労災通院患者からの休業補償支給請求書が治癒後に提出された場合、医療機関としてはどのように対応すべきか悩むケースがあります。とくにレセプトがすでに請求済みの場合、追加入力や訂正が必要になるのか、正しい手続きが求められます。本記事では、こうしたケースに対応するための具体的な対応手順や注意点をわかりやすく解説します。
労災の休業補償とは?
労災保険における休業補償とは、業務中や通勤途中のケガ・病気などにより就労できない期間について、労働基準監督署から補償金が支給される制度です。補償金の請求には、医療機関で作成された「休業補償支給請求書(様式第8号)」の証明欄が必要となります。
通常、患者は治療中にその都度休業補償請求書を持参し、医療機関で記入してもらいます。しかし、今回のように通院が終了したあとで遅れて持参されることもあります。
すでにレセプト請求済みの場合の対応
6月のレセプトがすでに提出・支払い済みであっても、あえてレセプトの訂正や取消を行う必要は基本的にありません。というのも、休業補償請求における「証明料」は、あくまで書類作成料であり、労災請求とは別に自費請求できる扱いとなっているからです。
このため、医療機関としては「休業補償支給請求書」への記載・証明のみを行い、証明料を患者または事業者から自費として徴収することが可能です。
休業証明料の算定方法と請求先
「休業証明料」は保険診療報酬ではなく、任意料金(自費)として設定されます。金額は医療機関ごとに異なりますが、1,000円〜3,000円程度に設定している例が多く見られます。
支払いは通常、患者から現金で徴収する形式が一般的です。ただし、企業側がまとめて支払うケースもあるため、あらかじめ請求方法について確認を取っておくとスムーズです。
休業補償の書類対応は保険請求とは別フローで処理
休業補償支給請求書に記載する内容(治療期間、通院日数、就労可能日など)は、医師の診療記録をもとに行われます。重要なのは、この書類作成業務がレセプト処理とは別物であるという点です。
つまり、レセプトをすでに請求していても、別途文書として作成・押印し患者に返却することが認められています。再請求や訂正などの特別な手続きは基本的に不要です。
実務上の注意点とトラブル回避のために
患者からの休業補償請求書は、できるだけ通院中に都度対応しておくことが理想です。しかし、遅れて提出された場合でも、正当な記録に基づいて記載を行えば、特に問題になることはありません。
ただし、記載内容に不備があった場合、労働基準監督署からの問い合わせや訂正依頼が発生することがありますので、記録と一致するか慎重に確認することが重要です。
まとめ:休業補償書類の対応は冷静に、確実に
通院が終了したあとに休業補償支給請求書が提出された場合でも、レセプトを取り下げて再請求する必要は基本的にありません。診療記録をもとに記入し、自費にて証明料を請求することで問題なく処理できます。
今後に備えて、患者への案内や院内のフロー整備を行っておくと、よりスムーズに対応できるでしょう。
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