正社員を退職し、フリーターやアルバイトなど非正規の働き方に切り替えた際に検討されるのが「親の扶養に入ること」です。しかし、所得の状況や扶養の種類によって条件や影響が異なるため、制度を正しく理解することが重要です。
扶養には2種類ある:税法上と社会保険上の違い
まず、親の扶養には大きく分けて「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」があります。
税法上の扶養は、親が所得控除を受けるためのもので、年収103万円以下が目安です。一方、社会保険上の扶養は、健康保険に加入する対象としての条件であり、年収130万円未満が目安となります。
この2つは目的も判断基準も異なり、混同しないよう注意が必要です。
社会保険上の扶養に入れる条件
あなたのように、退職後にフリーターとして働いている場合、年収130万円未満かつ労働時間が正社員の3/4未満であれば、親の健康保険の扶養に入ることが可能です。ただし、1月から6月の正社員期間に得た給与が加味される場合もあるため、扶養認定は保険者の判断になります。
また、社会保険の扶養は「今後の見込み年収」で判断されることが多く、年収が月額108,334円(130万円÷12ヶ月)を超えない見込みであるかが重要視されます。
130万円を超えると扶養には入れない?
質問者のように「年収130万円を超える見込みがある場合」は、基本的に社会保険の扶養には入れません。すでに130万円を超えている場合はもちろん、見込みであっても保険者により判断が分かれます。
この場合、自分で国民健康保険や国民年金に加入し、保険料を納める必要があります。
親の扶養に入るメリットとデメリット
メリットとしては、保険料や年金保険料を自己負担せずに済む点があります。経済的負担が軽くなるため、フリーターや非正規雇用の方には大きな助けになります。
一方、デメリットは、扶養に入るために働く収入をセーブしなければならず、結果として将来の年金受給額が少なくなる可能性があります。また、親の扶養枠に依存する形になるため、自立が遅れるリスクもあります。
退職後6ヶ月は社会保険に入れないという誤解
「退職後6ヶ月間は社会保険に加入できない」といった説明を受けた場合、それは制度上の正しい説明ではありません。雇用先が社会保険の適用事業所であれば、労働条件に応じて加入対象になるはずです。加入できないという制限があるとすれば、それは会社側の制度上の理由によるものでしょう。
その場合は、親の扶養に入るか、国保・国年に加入する必要があります。
まとめ:親の扶養に入るには条件を丁寧に確認しよう
扶養に入るかどうかは、収入の見込み額や就労条件、保険者の判断によって異なります。年収130万円を超える場合は扶養に入るのが難しいため、早めに国民健康保険や年金の手続きを検討しましょう。
一方で、将来的に収入が減る場合や一時的な離職中であれば、親の扶養に入って経済的な負担を軽くする選択も十分有効です。まずは保険者(健康保険組合や協会けんぽ)に直接相談し、自身の状況に合った最適な対応を見つけましょう。
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