若者は本当に金遣いが荒いのか?世代別の消費傾向と価値観の変化を読み解く

家計、貯金

「最近の若者は金遣いが荒い」という声はよく耳にしますが、それは果たして事実なのでしょうか?この記事では、若年層と高齢層の消費傾向の違いや、現代の若者がどのような価値観でお金を使っているのかを、データや実例をもとに考察していきます。

世代間で異なる「お金の使い方」の価値観

一昔前は「高級車を所有する」「ブランド物を身につける」ことが豊かさの象徴でしたが、若者の消費スタイルは大きく変化しています。現代の若者は「モノ」より「コト」に価値を置く傾向が強く、旅行・ライブ・サブスク・推し活といった体験型の支出に比重を置いているのが特徴です。

一方で、高齢層は実体のある資産や商品にお金をかける傾向が残っており、その感覚の違いから「若者は貯金せず浪費している」と誤解されやすい構図が生まれているのかもしれません。

統計データから見る世代別の貯蓄傾向

総務省「家計調査」によると、若年層(20〜30代)は収入に対する貯蓄率が決して低いわけではありません。特に近年は、給与が伸び悩む中で節約志向が強く、堅実な家計管理をしている若者も多く見られます

例えば、20代後半〜30代前半の共働き家庭では、家計簿アプリを活用した予算管理や、投資信託・iDeCo・つみたてNISAといった資産形成への関心が高まっています。浪費型ではなく「未来志向型の支出」を行っている実例も多数確認されています。

「○○離れ」が意味するもの

車離れ・酒離れ・ブランド離れなど、若者が消費を避ける現象は「お金がないから」ではなく「必要性を感じないから」という理由が多く見受けられます。

たとえば車離れの背景には、都市部の交通インフラの発達や、カーシェアリングの普及があります。ブランド離れにしても、「本当に価値あるモノなら買うが、ロゴだけの高額商品には意味を感じない」という合理的な判断が根底にあることが多いのです。

実例:若者の堅実な金銭感覚

東京都在住の25歳女性(会社員)は、月収手取り23万円の中で、家賃6万、食費2.5万、通信費1.2万、つみたてNISAへ2万、余剰資金は定期預金に充てる生活を送っています。飲み会は月1回程度で、カフェ代や娯楽費も月1.5万以下に抑えているとのこと。

このように、限られた収入の中でいかにバランス良く生きるかを考える若者が増えており、「金遣いが荒い」とは一概には言えない現状があります。

高齢層にも見られる「浪費型」の傾向

一方で、高齢者層の中にも年金を使い切る生活スタイルをしている方が少なくありません。高額な健康器具や宗教的な献金、旅行や贈答品への支出など、若者とは異なるかたちで「使うお金」が存在しています。

さらに、現役時代のバブル経験による価値観が残っている場合、消費に対する意識が今とは大きく違うケースもあります。

まとめ:金遣いの荒さは「世代」ではなく「価値観の違い」

「若者は金遣いが荒い」というのは一面的な見方であり、実際には節約や投資、ライフスタイルに応じた堅実な選択をしている人も多くいます。大切なのは世代でひとくくりにするのではなく、それぞれのライフスタイルや価値観を理解することです。

もし「世代間ギャップ」を感じるのであれば、相手がなぜそのような消費行動をしているのかを知ることが、より深い理解につながる第一歩になるでしょう。

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