賞与(ボーナス)をもらった時、「扶養が3人もいるのに所得税がこんなに高いの?」と疑問を抱く人は少なくありません。実際、給与とは別の計算方法が使われており、驚くほど税額が引かれることもあります。この記事では、実際の明細例をもとに賞与時の所得税が高く見える理由と確認すべきポイントをわかりやすく解説します。
賞与の所得税は「月額表」ではなく「賞与の課税方式」で決まる
通常の給与では「扶養控除等申告書」に基づいて税額が月額表で決まりますが、賞与の場合は前月の社会保険対象額をもとに税率が決まる「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使います。
たとえば、5月の社会保険対象額が約338,160円で扶養親族が3人の場合、対応する税率は「5.105%」になります。賞与が302,883円ならば、302,883円 × 5.105% ≒ 15,455円程度が理論値となります。
実際の明細では控除税額11,500円と記載されており、この値は計算上の水準よりやや少なめです。つまり、適正な税額の範囲内であると判断できます。
扶養が3人いても「賞与課税」の計算では一律適用されないケースも
扶養人数は賞与課税表にも反映されますが、住民税の計算や会社の申告状況、前年所得によってズレが出ることもあります。
特に、年末調整や確定申告で変更がある場合、扶養人数が正しく反映されていない可能性もあるため、源泉徴収簿を確認することが安心です。
手取りを減らす他の要因:社会保険や住民税も要チェック
今回の賞与明細では、社会保険料の合計(健康保険・厚生年金・介護保険など)は57,362円、住民税は22,300円と記載されています。
合計控除額は94,637円に達しており、これが賞与額30万円に対する手取りを大きく圧縮する要因になっています。
所得税単体で見ると「11,500円」はそこまで高額ではなく、むしろ社会保険料と住民税が合算で高く見える原因です。
住民税は前年の所得が影響、突然増えて見えることも
住民税は前年の所得をもとに課税されるため、昨年の年収が高かった場合、今年の住民税が急に高くなることもあります。
扶養がいても、前年の収入次第では月2万円以上になるケースは珍しくありません。
まとめ:賞与時の税は独自ルール。金額だけで「高い」とは判断できない
扶養が3人いるのに賞与で11,500円の所得税が引かれているのは、一見すると多く見えるかもしれません。しかし、税率表に基づいた計算から見れば適正範囲内で、社会保険料や住民税の影響も大きいことがわかります。
「高すぎる」と感じた時は、前月給与の標準報酬・扶養人数・住民税額の確認が最も有効なチェックポイントです。
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