傷病手当金受給中に高額療養費制度を利用した場合の自己負担限度額の計算方法とは

社会保険

病気やケガで仕事を休み、傷病手当金を受給している間に入院や手術が必要になると、高額療養費制度を併用するケースがあります。このとき、「自己負担限度額の算定基準」は何に基づくのか――傷病手当金の金額?それとも休職前の給与?この記事ではその疑問を詳しく解説します。

高額療養費制度の自己負担限度額とは

高額療養費制度とは、1ヶ月の医療費が一定額を超えたときに、その超過分を払い戻してもらえる制度です。この“限度額”は加入者の所得区分(標準報酬月額)に応じて段階的に決まっています。

例:標準報酬月額28~50万円の人の限度額は「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」となります。

限度額の算出に使われるのは「傷病手当金」ではない

自己負担限度額を算定する際に使われる所得区分は、あくまで「健康保険上の標準報酬月額」であり、実際に受け取っている傷病手当金の金額ではありません。

つまり、休職して給与の代わりに傷病手当金を受け取っていても、健康保険で登録されている直近の標準報酬月額が反映されるため、限度額は変わらないということです。

標準報酬月額はどう決まる?

標準報酬月額は、基本的に休職前に会社から支払われていた給与に基づいて設定されており、月ごとに変動するものではありません。

例:月収が32万円だった場合、その人の標準報酬月額は「32万円区分」で扱われ、休職後に収入がなくなっても、限度額の区分は据え置かれます。

限度額適用認定証の取得も重要

医療機関の窓口で支払額を限度額までに抑えるには、「限度額適用認定証」の申請が必要です。申請は健康保険組合や協会けんぽへ行い、発行された認定証を病院に提出することで、その場の支払いを軽減できます。

忘れた場合でも、後日払い戻しは可能ですが、手続きが煩雑になったり、返還まで時間がかかるため、事前取得をおすすめします。

高額療養費と傷病手当金の併用に関する注意点

両制度は併用可能ですが、それぞれ異なる制度であり、申請先・手続きも別です。高額療養費は「医療費に対する補助」、傷病手当金は「収入補填」という役割の違いがあります。

併用しても、どちらか一方が打ち切られるわけではありませんので、必要に応じて両方を活用しましょう。

まとめ

高額療養費制度の自己負担限度額は、あくまで健康保険上の標準報酬月額に基づいて決まります。傷病手当金の額は関係ありません。

  • 休職中であっても、直前の給与ベースの区分が適用される
  • 限度額適用認定証を忘れず取得し、窓口で提示
  • 傷病手当金との併用は可能で、制度上の制限はなし

こうした制度を正しく理解し、経済的な負担を抑えながら安心して治療に専念できるよう、必要な手続きを整えておきましょう。

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