年金停止制度とは?制度の背景とスタート時期、しくみを徹底解説

年金

「年金停止制度」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。この制度は、一定の条件を満たすと年金の受給が一時的に停止されるしくみですが、その制度がいつから始まったのか、どのような条件で停止されるのかを正確に理解している方は意外と少ないかもしれません。本記事では、その制度の歴史から最新の制度内容まで詳しく解説します。

年金停止制度のはじまり

年金の支給停止に関する制度は、1985年(昭和60年)の年金制度改正により導入されました。この改正では、高齢者の就労状況に応じて年金の一部または全部が停止される「在職老齢年金」の仕組みが整備されました。

この仕組みは、高齢者が現役世代と同じく就労し続ける場合の収入調整を目的としたもので、年金を「減額」または「全額停止」とすることがあります。

なぜ年金が停止されるのか?

主な目的は、働いて一定以上の収入を得ている高齢者が年金も満額受け取ると、現役世代との不公平感が生じることを防ぐためです。

具体的には、60歳〜64歳の在職者には「在職老齢年金」の制度が適用され、賃金と年金の合計額が一定額を超えると、年金が減額または停止されます。

在職老齢年金と年金停止の仕組み

2022年4月現在の基準では、60歳〜64歳の場合、「総報酬月額相当額」と「基本月額(年金月額)」の合計が28万円を超えた部分の半分が年金から減額されるしくみになっています。

例えば、給与が月20万円で年金月額が10万円なら合計30万円 → 超過分2万円の50%=1万円が減額、つまり9万円が支給されます。

65歳以降も制度は適用されるのか?

65歳以上の場合も「在職老齢年金」の対象ですが、基準額は月47万円と大きく引き上げられています。つまり、多くの方は65歳以降も通常通り年金を受給できます。

ただし、高所得の方や企業役員として報酬を得ている方は、引き続き減額・停止の可能性があります。

制度の変更点と今後の動向

政府は「高齢者の就労促進」を重視しており、今後はこの停止制度を緩和・見直す方向も検討されています。実際に、2022年以降、65歳以上の基準額は47万円に引き上げられました。

また、将来的には完全な年金支給停止制度の撤廃が議論される可能性もあります。

まとめ:制度の理解が将来の損を防ぐ

「年金停止制度」は1985年の年金制度改革から導入され、現在も継続中です。特に60代前半で働いている方には大きな影響があります。

給与収入がある場合は、年金額の変動をしっかり把握し、制度に合わせた働き方を検討することが大切です。詳細な計算や適用判断については、日本年金機構や社会保険労務士などの専門機関への相談をおすすめします。

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