家庭の金融資産は誰にどこまで把握されているのか?金融機関や公的機関の資産情報の扱いを解説

家計、貯金

家庭が複数の金融機関に口座を持ち、証券会社で資産運用を行っている場合、それらの金融資産が「どこか一箇所で把握されてしまうことはあるのか?」という疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。本記事では、金融資産の情報がどのように管理され、誰にどこまで見えるのかについて、公的機関や民間機関の関わりも含めて詳しく解説します。

金融機関同士は資産情報を共有していない

まず基本的なポイントとして、異なる金融機関間でお互いの顧客情報を共有する仕組みは存在しません。たとえば、三井住友銀行が三菱UFJ銀行や楽天銀行にあるあなたの預金額を知ることはできません。

これは個人情報保護法の観点からも明確に制限されており、顧客の許可なしに他行の情報にアクセスすることは違法となります。

証券会社や金融商品はどうか?

証券口座についても同様で、SBI証券が楽天証券の保有株や投資信託の情報を知ることはできません。金融商品取引業者は、それぞれの顧客情報を厳格に管理しており、他社と情報を連携する法的義務も仕組みもありません

ただし、顧客本人が複数の口座情報を一元管理したい場合には、マネーフォワードやMoneytreeなどの家計簿アプリを通じて情報を自動連携することが可能です。

唯一、税務署(国税庁)は資産を追跡可能

唯一例外的に情報を統合・追跡できる立場にあるのが国税庁(税務署)です。税務調査などが入る場合、金融機関や証券会社に対して「照会」を行うことで資産の情報を取得することが可能です

たとえば相続税の調査時などには、預金口座の動きや金融資産の保有状況を把握するために、過去10年分の取引履歴まで調査されるケースがあります。

マイナンバー制度と金融資産の関係

2016年以降、マイナンバー制度の導入により、金融機関で口座を開設する際や証券会社で取引を始める際にマイナンバーの提出が義務化されました

これにより国(税務署)は、各金融機関ごとに登録されたマイナンバーをキーにして、個人の資産を横断的に把握できる可能性が出てきています。ただし、実務上は限定的に使われており、一般的に日常の資産が監視されるわけではありません。

本人以外の第三者がすべての資産を知ることは基本的に不可

家族や親族などが、特定の個人のすべての金融資産を一覧で確認するようなことは、原則として不可能です。本人がIDや通帳などを共有しない限り、それぞれの金融機関ごとの資産は独立して管理されており、他人が閲覧できる仕組みにはなっていません。

ただし、後見制度や法定代理人となった場合には、法律に基づき一定のアクセス権が認められます。

まとめ:資産の全体像を知るのは原則「本人か国のみ」

複数の銀行口座や証券口座を持っていても、金融機関や証券会社同士が自動的に情報を共有しているわけではありません。全体像を把握できるのは基本的に本人のみであり、税務署などが法令に基づいて調査する場合を除いて、他の機関がすべての資産を知ることはありません。

安心して資産管理を行うためにも、必要があれば家計簿アプリなどを活用し、自分で資産の一元管理を行っておくのもおすすめです。

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