毎月の給与から自動的に天引きされる厚生年金保険料。特に変更の覚えがないのに、ある月から急に金額が上がっていて驚く方も多いのではないでしょうか。本記事では、収入が変わっていなくても厚生年金保険料が大幅に上がる理由や仕組みについて、わかりやすく解説します。
厚生年金保険料は「標準報酬月額」によって決まる
厚生年金保険料は、実際の給与額に応じて設定される「標準報酬月額」に基づいて決定されます。これは1か月の給与(基本給+手当など)を一定の幅ごとに区切ったもので、毎年の4月〜6月の平均月収を元に決まります。
たとえば、4〜6月のどこかで一時的に残業が多かった、賞与とは別の臨時手当が出たなどの影響で、平均が上がると標準報酬月額も自動的に上がるため、保険料が翌年の9月支給分から増額されるのです。
なぜ5月から急に上がることがあるのか
標準報酬月額の変更は、通常は年1回「定時決定」と呼ばれる形で、9月から反映されます。ただし、以下のようなケースでは途中で「随時改定」が行われ、保険料が急に上がる可能性があります。
- 固定給の昇給・降給があった(賃金改定)
- 給与体系が大幅に変わった
- 3か月連続で月収が2等級以上変動した
つまり、収入が「変わっていないと思っていても」、交通費や役職手当、特別支給の手当などが変動していた場合は、標準報酬月額が変わって保険料に反映されることがあるのです。
具体的な金額差の実例
たとえば、東京都の厚生年金保険料率(2024年度)は18.3%(本人負担9.15%)です。
・標準報酬月額26万円 → 本人負担:23,790円
・標準報酬月額41万円 → 本人負担:37,515円
・標準報酬月額65万円 → 本人負担:59,475円
つまり、標準報酬月額が26万から65万に変更された場合、月間の保険料は約36,000円も上昇します。これは実際に質問で挙がっていた「37515円 → 59475円」というケースにも当てはまります。
自分の標準報酬月額はどこで確認できる?
自分の標準報酬月額や保険料の金額は、会社から配布される「給与明細」や「保険料決定通知書」に記載されています。また、年金ネット(日本年金機構)でも詳細が確認可能です。
会社の人事・総務部門に問い合わせれば、随時改定が行われた理由や保険料の変化についての説明も受けられます。
まとめ:見えない給与変動や制度による自動変更に注意
厚生年金保険料は収入に比例しますが、その収入には基本給だけでなく交通費や各種手当なども含まれます。自分では収入が変わっていないと思っていても、制度上のルールで保険料が変更されることは十分にあり得ます。
保険料が急に上がった場合は、焦らず「標準報酬月額の見直し」や「随時改定の有無」についてチェックし、必要であれば会社に確認してみると良いでしょう。
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