離婚調停中や別居中に、子どもの健康保険の扶養者を夫から母親に切り替えたいというケースは少なくありません。実際に可能かどうか、手続きの方法、そして扶養に関わる誤解されがちなポイントを解説します。
健康保険の扶養変更は「収入と実態」が判断基準
健康保険の扶養判定は、「収入の多い方が原則扶養者になる」と言われますが、それはあくまで同居している場合の話です。別居している場合には、生活の実態がどちらにあるかがより重視されます。
例えば、子どもと一緒に住んでいて、日常的な生活費を母親が負担している場合、実質的な扶養関係があるとして母親側での健康保険の扶養が認められる可能性が高くなります。
別居中は「仕送り証明」がカギになる
逆に、父親が扶養者のままである場合には「仕送り実態の証明」が必要です。たとえば、銀行振込記録や送金明細などが必要になります。1年以上面会も仕送りもないとなれば、扶養の実態がないと判断される可能性が高いです。
したがって、母親が実際に生活費を負担している場合、その事実をもって扶養変更を申し出ることができます。
子ども全員の扶養を一括で変更できるか?
同時に複数の子どもを扶養に入れることも可能ですが、それぞれについて扶養の実態を証明する必要があります。健康保険組合によっては、住民票や家族関係証明書、扶養の理由書などの提出が求められます。
また、住民票が別のままだと手続きがスムーズに進まない可能性があるため、住所変更を含めた整備も検討するとよいでしょう。
会社の判断と健康保険組合の判断は別物
勤務先が「夫の方が収入が多いからダメ」と言ったとしても、最終的な判断は健康保険組合が行います。まずは健康保険組合に直接相談し、現在の家庭状況を説明して扶養異動申請を検討してもらうのが最も確実です。
申請には、別居の事実、生活費の負担状況、通学や生活実態が確認できる書類が役立ちます。
奨学金手続きや医療証発行にも影響する
扶養者の情報は奨学金や医療証の発行など、公的手続きにも関わってくるため、スムーズな事務処理を望むなら実態に沿った扶養変更が望ましいです。現状で父親を通すことで申請が遅れるリスクがあるなら、手続きの手間よりも実務上の合理性を優先すべきです。
まとめ:扶養変更は「実態」を伝えることが鍵
扶養の変更は「収入」だけで決まるものではなく、実際に誰が生活費を負担し、どちらと生活しているかが重要です。別居中で、かつ1年以上交流や仕送りがない場合には、母親側での扶養が認められる可能性が高くなります。
まずは勤務先の担当者と健康保険組合に相談し、書類を整えたうえで速やかに申請を行いましょう。
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