「国民健康保険には扶養がない」と聞いて混乱した経験はありませんか?実は、健康保険と税法では「扶養」という言葉の意味がまったく異なります。この違いを理解しておかないと、損をしてしまうことも。本記事では、社会保険と国民健康保険における扶養の概念の違いや、扶養控除の適用条件をわかりやすく解説します。
健康保険と税法の「扶養」は別物
まず押さえておきたいのは、健康保険における「扶養」と、税法における「扶養控除」はまったく別の制度だということです。
健康保険では、会社の健康保険(協会けんぽや組合健保など)に加入している人は、収入などの条件を満たせば家族を「被扶養者」として保険に加入させられます。これに対して、国民健康保険にはこの「被扶養者」の仕組みがなく、家族一人ひとりが個別に保険料を支払います。
国民健康保険に扶養がない理由
国民健康保険は自営業者や非正規雇用者などが加入する制度で、加入者全員が保険料を個別に負担するのが基本です。被扶養者制度がないため、専業主婦や子どもでも一定の保険料が発生する場合があります。
そのため「夫が国保で妻を扶養に入れる」ということはできず、別々に保険料を支払う必要があります。これが「国民健康保険に扶養がない」と言われる理由です。
税法上の扶養控除は社会保険と無関係
一方、税法上の扶養控除とは、家族の年間所得が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)であれば、扶養者の所得から一定額を控除できる制度です。これは所得税や住民税の軽減につながります。
この扶養控除は、社会保険や国民健康保険の加入状況とは関係ありません。つまり、たとえ家族が国民健康保険に個別加入していても、条件を満たしていれば税法上の扶養控除を受けることは可能です。
たとえばこんなケースで整理しよう
例1:夫が自営業で国民健康保険に加入。専業主婦の妻も国保に個別加入している。この場合、健康保険の扶養には入れないが、妻の所得が少なければ夫の税法上の扶養控除の対象になる。
例2:会社員の夫が社会保険加入。妻が年収100万円で被扶養者扱い。この場合は健康保険でも扶養となり、税法上でも扶養控除が適用可能。
扶養控除を活用するには?
年末調整や確定申告で「扶養控除等申告書」を提出することで、控除を受けられます。生計を一にしていること、年間合計所得が一定以下であることなどの条件をクリアしているか確認しましょう。
また、親や子どもを扶養控除の対象にできる場合もあります。パートナー以外の家族も視野に入れて節税のチャンスを見逃さないようにしましょう。
まとめ:国保でも扶養控除は受けられる!誤解しないことが大切
「国民健康保険には扶養がない=扶養控除が使えない」と思い込むのは大きな誤解です。健康保険と税法では扶養の意味が異なり、税法上の扶養控除は国保でも十分に適用可能です。
家族の所得状況や保険加入形態を整理しながら、上手に制度を活用しましょう。正しい知識が家計の節約にもつながります。
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