うつ病やその他の病気・ケガで休職した場合、多くの人が頼りにするのが健康保険の「傷病手当金」です。しかし、申請してみると想定よりも支給額が少ない、というケースが少なくありません。本記事では、有給休暇や給与の一部支給がある場合の傷病手当金への影響と、確認・対応のポイントについて詳しく解説します。
傷病手当金の基本的な支給ルール
傷病手当金は、被保険者が病気やケガで就労不能となり、会社から十分な報酬を受けていない場合に支給されます。主な条件は以下のとおりです。
- 業務外の病気やケガであること
- 連続する3日間(待期期間)を含み、4日以上休業していること
- 給与などの報酬を会社から受けていない、または一部のみであること
この「報酬」とは、基本給に限らず、手当や有給なども含まれます。
有給休暇の取得が支給額に影響する理由
待期期間に有給休暇を使用すると、その期間中は会社から給与を受けているとみなされます。したがって、たとえその後の休職期間に給与が支払われていなくても、有給取得分は「報酬あり」と判断され、傷病手当金の対象外になります。
今回のケースのように、3/1~3/3まで有給を使用し、3/4~3/31を休職した場合、傷病手当金の支給対象は3/4以降のみです。さらに、月全体で請求していた場合、健康保険組合側は支給対象外の日数分を差し引いたうえで計算するため、減額される形になります。
一部報酬がある場合の差額支給の仕組み
会社から給与が支払われていた場合でも、金額が傷病手当金の満額に満たない場合は、差額分が支給されることがあります。たとえば、通常の傷病手当金の額が1日あたり7,000円で、会社からの給与が5,000円支払われている場合、差額の2,000円が支給される計算になります。
逆に、有給休暇中の給与が満額支給であれば、その期間は支給対象外です。交通費や住宅手当などの非課税手当は含まれないことが多いため、報酬の種類についても整理して確認しましょう。
不明点がある場合は会社と健康保険組合に確認を
減額理由が不明確な場合は、まずは会社の人事・労務担当者に確認しましょう。傷病手当金の申請内容や給与支払い実績、会社側が健康保険組合に提出した申請書の内容を確認することが大切です。
また、健康保険組合にも問い合わせが可能です。支給決定通知書などに記載されている連絡先に連絡し、具体的な理由を説明してもらうと安心です。
書類の記載ミスや申請期間の違いにも注意
申請書に「3/1〜3/31」と記載していた場合でも、実際の支給対象期間が「3/4〜3/31」であれば、有給分は除外されます。書類記載の期間と、実際の給与支給の有無が一致していないと、誤って減額される場合もあります。
特に複数回にわたる申請を行う場合は、各期間ごとに正確な休職・報酬状況を記載するよう注意が必要です。
まとめ:減額理由を明確にし、必要があれば相談・訂正を
傷病手当金が減額される理由として、有給取得や一部報酬支給の扱いが大きな要因となります。減額理由が不明な場合や納得がいかない場合は、会社や健康保険組合に相談することが重要です。
書類の内容や申請方法に不備があった場合、訂正申請が可能なケースもあるため、早めの確認・対応をおすすめします。
コメント